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パリ五輪でのAI群衆監視法案、フランスで物議 人権団体が反発

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フランス政府は2024年パリ五輪に向け、防犯カメラやドローン映像からAIで「異常行動」を検知する特別法案の成立を急いでいる。顔認証は含まれず時限的実験とされるが、人権団体は恒久的な大規模監視体制につながる恐れがあると強く懸念している。

パリ五輪でのAI群衆監視法案、フランスで物議 人権団体が反発
画像:theguardian.com

大規模な国際スポーツ大会は、常に最新の治安・監視技術を試す実験場となってきましたが、フランスはさらに踏み込んだ一手に出ようとしています。

フランス政府は、2024 年のパリオリンピックに向けた特別法案の成立を急ピッチで進めています。すでに上院を通過し、2 月には国民議会で審議される予定のこの法案には、AI を活用したビデオ監視を国内で初めて合法化する方針が盛り込まれました。

法案が成立すれば、街中に設置された固定式防犯カメラやドローンが撮影した映像を AI アルゴリズムが解析し、群衆の中の「異常」または「不審」な動きを自動検知して警察に通報できるようになります。

顔認識は見送るも、行動データを AI が追跡

政府がこの法案を急ぐ背景には、切実な警備上の課題があります。大会期間中には 1300 万人の観客が見込まれ、開会式だけでもセーヌ川周辺に約 60 万人が集まるとされています。

さらに昨年にスタッド・ド・フランスで開催されたサッカー欧州チャンピオンズリーグ決勝の混乱も大きな影を落としています。当時は催涙ガスが使用されて子どもを含むファンが巻き込まれ、スタジアム周辺で強盗被害も多発しました。

アメリー・ウデア=カステラ スポーツ相は円滑な運営に不可欠な調整だと述べ、ジェラルド・ダルマナン内相も警備の枠組みを整えるものだと主張しています。

政府側は懸念を和らげるため、このシステムには顔認識技術は含まれず、あくまで期限を区切った実験的措置である点を強調しています。

しかし人権団体側は納得していません。アムネスティ・インターナショナルは、顔認識を使わなくても身体的なデータや行動パターンを分析すること自体がプライバシー侵害に当たると反論しています。

アムネスティ・フランスの担当者カティア・ルー氏は、そもそも何をもって正常または不審とするのか、その基準を誰が決めるのかという根本的な問題を提起しています。このままでは表現の自由や集会の自由が萎縮しかねないとの主張です。

オリンピックを超えて 2025 年まで続く実験

デジタル権利擁護団体ラ・クアドラトゥール・デュ・ネットのバスティアン・ル・ケレック氏は、監視の性質そのものが変わると警鐘を鳴らします。

これまでの防犯カメラは人間がモニターを見張る必要があり、監視能力には物理的な限界がありました。しかしフランス全土にある数十万台のカメラ映像をアルゴリズムが常時解析できるようになれば、その限界は消滅します。

さらに問題視されているのが適用の期間と範囲です。この実験的措置は今春から 2025 年 6 月まで認められ、オリンピック終了後も含め、あらゆるスポーツ、文化、祝祭イベントに適用されます。

人権団体は、2018 年のロシア・ワールドカップで導入された顔認識監視がその後の弾圧に転用された例を挙げ、オリンピックが治安権限拡大の口実に使われていると批判しています。

なぜ重要か

オリンピックの観戦者や現地を訪れる旅行者にとって、街を歩くだけで行動をアルゴリズムに常時採点される環境が現実味を帯びてきました。顔写真が照合されなくても、立ち止まった時間や歩き方が不審と判定されれば警察の職務質問を受けるリスクが生じます。

政府のアプローチは、EU の厳しい生体認証規制を回避するために顔認識を外しつつ、行動解析で群衆統制の実を取るという計算された設計に見えます。

しかし、この動きには大きな落とし穴があります。安全保障の名目で一度拡大された監視権限が、イベント終了後に自発的に縮小された例はほとんどありません。実験期間が 2025 年半ばまで設定されていること自体、恒久化への地ならしと受け取られても仕方がありません。

今回の法案が通れば、西側先進国における大規模イベントの警備基準が一気に塗り替わる可能性があります。フランスの動向は、今後の AI 監視と人権の境界線を占う重要な試金石となるはずです。

情報源 (1)

  1. [1]
    theguardian.com(新しいタブで開きます)原文theguardian.com

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