本文へスキップ
IFAI

業界動向

仏マクロン大統領、AI分野に1090億ユーロの民間投資誘致を発表

公開 拡散指数 47

マクロン仏大統領は日曜、国内AI分野に今後数年で1090億ユーロの民間投資が集まると発表した。アラブ首長国連邦の1GWデータセンター建設計画や地元Mistralの施設投資などが含まれ、米国の巨大AI構想「スターゲート」に対抗する狙いだ。

仏マクロン大統領、AI分野に1090億ユーロの民間投資誘致を発表
画像:bloomberg.com

アメリカの5000億ドル規模の「スターゲート」構想に対抗し、欧州もついに巨額の計算基盤整備へと舵を切りました。

フランスのマクロン大統領は、パリで開催されるAIアクション・サミットを前に、今後数年間で国内のAI分野に民間から総額1090億ユーロ(約1126億ドル)の投資が集まる見通しを発表しました。フランスのテレビ局TF1の取材に対し、マクロン氏はこれをトランプ米大統領が打ち出したスターゲート計画のフランス版だと表現しています。

集まる巨額マネーとデータセンター構想

今回の資金調達は、政府予算ではなく海外ファンドや民間企業からの拠出が中心です。

最大の出資元の一つがアラブ首長国連邦(UAE)です。UAEはフランス国内に1ギガワット規模のAIデータセンターキャンパスを建設するため、300億〜500億ユーロの投資を確約しました。さらに、米国やカナダの投資ファンドも参加します。

フランス国内の企業も動いています。通信大手イリアドがAIインフラに30億ユーロを投じるほか、パリを拠点とする有力AIスタートアップのミストラルも自社データセンターの建設に数十億ユーロ規模を投じる計画を明らかにしました。通信大手オランジュや防衛大手タレスも名を連ねています。

この発表は、バンス米副大統領やフォンデアライエン欧州委員長、オープンAIのサム・アルトマン氏、ディープマインドのデミス・ハサビス氏らが一堂に会するサミットの直前に行われました。

一方で、会場の関心は中国ディープシークの台頭にも集まっています。低コスト開発を掲げるR1の登場は巨額インフラ投資の費用対効果に疑問を投げかけており、ハサビス氏は技術的な新展開というより既知の手法の組み合わせであり、過剰に騒がれている面があると牽制しています。

なぜ重要か

これまで欧州は、生成AIの競争においてイノベーションよりも規制主導の姿勢が目立っていました。今回の1090億ユーロの民間投資誘致は、自前の計算インフラを持たなければ規制をいくら作っても米中の後塵を拝するという危機感の表れと言えます。

欧州のエンジニアや新興企業にとっては、国内に1ギガワット級の巨大データセンターやミストラル独自の計算基盤ができることで、米国のクラウド大手に依存しすぎず、厳しい域内データ保護規制に適合した環境で開発を進めやすくなるメリットがあります。

ただし、インフラを整えるだけでは米中との格差は埋まらないと私たちは考えます。英シンセシアのCEOが指摘するように、計算資源の確保は前提条件に過ぎず、人材流出の防止やリスクマネーの供給など、エコシステム全体の成熟が不可欠です。

巨額のデータセンター建設という分かりやすいハードウェア投資で存在感を示したフランスの手法は巧みですが、ディープシークが示したようなアルゴリズムの効率化や、アルトマン氏が求める成長志向への規制緩和を欧州全体で受け入れられるかが、今後の成否を分けることになりそうです。

情報源 (2)

  1. [1]
    bloomberg.com(新しいタブで開きます)原文bloomberg.com
  2. [2]

毎日のAIピックアップ