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業界動向

野生動物から列車や空港を守るエッジAI スウェーデンのFloxが約150台配備

公開 拡散指数 39

スウェーデンのスタートアップFlox Intelligenceは、線路や空港への野生動物の侵入を防ぐエッジAI端末を展開している。端末はカメラとオンデバイスの画像認識で動物種を特定し、適した警告音で追い払う。すでに北米や欧州などに約150台配備され、仏アルストムとも提携している。

画像:techcrunch.com

野生動物と交通インフラの衝突事故は、世界中で膨大な損失を生み続けています。

アメリカ連邦航空局(FAA)の試算によると、野生動物との衝突による民間航空の被害額は年平均約2億7200万ドルに達します。フランス国鉄(SNCF)でも徘徊する動物が年間8000本以上の運行に影響を与え、遅延原因のワースト5に入っています。しかし従来の対策といえば、フェンスを張るか、大音量のサイレンを鳴らすか、駆除するくらいしかありませんでした。問題は、動物が警報音のパターンにすぐ慣れてしまうことです。

この課題に挑んでいるのが、スウェーデン王立工科大学(KTH)発のスタートアップ、Flox Intelligenceです。

相手を見極め、適切な威嚇音を変幻自在に放つ

創業者のSara Nozkova氏は、自動運転や交通工学に13年携わった後、2020年にFloxを立ち上げました。彼女が着目したのは、整備された都市部では賢いAIも、野生の自然環境に入った途端に判断がつかなくなるという弱点でした。

同社が開発したのは、電柱や木に固定できるバッテリー駆動のエッジデバイスです。普段は省電力で待機し、動体センサーが反応した瞬間だけカメラを起動。オンデバイスの画像認識モデルが動物の種別(シカ、ヘラジカ、クマなど)を即座に判定します。

そして、その動物種に応じた威嚇音を再生して追い払います。動物の行動反応を見ながら音の種類やパターンを変化させるため、同じ音に慣れて居座られるのを防げる仕組みです。

現在、北米、欧州、豪州の空港周辺、鉄道沿線、変電所など約150カ所に導入されています。鉄道車両大手アルストム(Alstom)とも提携し、車両側へソフトウェアを搭載する取り組みも進めています。これまでに500万ドルを調達済みで、2026年の売上高は約150万ドルを見込み、現在は数千台規模への拡大に向けて1000万ドルのシリーズA調達を開始しています。

なぜ重要か

鉄道事業者や空港管理者にとって、動物衝突による数時間の遅延や機体・車両の損傷コストは極めて現実的な頭痛の種です。フェンスを延々と張り巡らせる莫大な土木費用に比べれば、必要な地点に自律型のエッジ端末を後付けし、ソフトウェアで監視と報告まで完結できるアプローチは実用的な選択肢になります。

業界の視点で見ると、これはフィジカルAIが工場や公道といった管理された空間から、予測不能な「大自然」へと踏み出す試みです。鳥類対策ではRobin Radarやレーザーを使うiCHASEといった競合が存在しますが、大型哺乳類の行動データを現場で学習し続けるシステムはまだ未開拓の領域です。

私たちは、Floxがハードウェア単体の販売にとどまらず、アルストムのような車両OEMと組んで移動体自体に組み込もうとしている点を高く評価します。一方で、導入実績がまだ約150台にとどまっている段階では、本当にあらゆる季節や地域で動物が音に慣れずに逃げ続けるのか、長期的な実証データが今後の普及スピードを左右することになりそうです。

情報源 (1)

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    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com

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