本文へスキップ
IFAI

業界動向

Fiverrが「AIファースト」企業へ刷新、約250人の人員削減を発表

公開 拡散指数 55

スキルマーケット大手のFiverrは「AIファースト」企業への転換と約250人の人員削減を発表した。CEOのミカ・カウフマン氏によると、社内業務へのAI導入でサポートや不正検知が効率化されたことを受け、組織をフラット化してAIネイティブな体制へ移行するという。

Fiverrが「AIファースト」企業へ刷新、約250人の人員削減を発表
画像:blog.youtube

数カ月前、フリーランス仲介大手の米ファイバーのCEOは、社内に向けてAIへの不安とどう向き合うかを説いていました。「水を一杯飲み、鏡の前で叫んで、落ち着こう」と。

だが、その不安は現実のものとなりました。同社の創業者兼CEOであるマイカ・カウフマン氏は9月15日、同社をAIファーストの企業へと転換し、創業期のスタートアップモードへ回帰すると発表しました。

その過程で実施されるのが、全社的な人員整理です。海外メディアのTechSpotによると、対象となる約250人の従業員は全従業員の約30%に相当します。

業務の完全自動化と「生産性3倍」の要求

この痛みを伴うリセットの兆候は以前からありました。カウフマン氏は4月の社内メールで、AIが自分自身の職を含めあらゆる仕事を脅かしていると警告していました。

当時、同氏は業務の100%を自動化するよう社員に促し、人間特有の非線形な思考や判断力があれば代替されないと主張していました。さらに米CBSの取材に対し、AIというスーパーパワーを手に入れた以上、単位時間あたりの生産性や品質は2倍から3倍に引き上げられるべきだと経営者としての本音を語っていました。

しかし現場で進んだのは、業務が効率化した結果として既存事業にこれほど多くの人員は不要だったという結論でした。

ファイバーは過去1年間、自社開発のNeoやFiverr Go、Dynamic MatchingといったAI施策をコーディング、マーケティング、カスタマーケア、不正検知などに幅広く導入してきました。サポート窓口での対応時間の短縮など確かな成果が出たことで、組織の徹底的なスリム化と中間管理職の削減に踏み切った形です。

3割を削り、基盤をゼロから再構築へ

創業から16年が経過したファイバーの技術インフラは長年積み重なり、複雑化していました。カウフマン氏は、人を増やしてシステムを継ぎ足すのではなく、シンプルに作り直すことこそが必要だと述べています。

今後はエンタープライズ向け案件や長期プロジェクト、AIネイティブな機能開発に注力する方針です。削減したリソースを元手に、既存社員のリスキリングやAI人材の獲得、インフラ刷新へ投資を振り向ける計画です。

AIを理由にした人員削減は同社に限りません。セールスフォースがサポート部門で4000人を削減したほか、インディードやグラスドアも1300人を解雇し、グーグルやxAIでもAIデータ関連のスタッフが整理されるなど、業界全体で同様の動きが加速しています。

なぜ重要か

フリーランスや現場の働き手にとって、ファイバーのこの決断は強烈な警鐘です。個人のスキルを仲介してきたプラットフォーム自らが、社内の業務をAIに置き換えて人を減らしています。定型業務を中心に請け負っているワーカーは、今すぐにでも高度な意思決定や複雑な案件へと軸足を移さなければ、プラットフォームの自動化ツールに居場所を奪われかねません。

業界全体にとっても、人を雇って規模を拡大するモデルから、AIによって最小限のチームで回すモデルへの転換を象徴しています。中堅規模のテック企業が上場後もスタートアップ並みの身軽さを取り戻そうとする動きは、今後他社にも波及するはずです。

私たちは、この経営判断は短期的にはコスト削減として機能するものの、大きなリスクをはらんでいると考えます。業務を自動化しろと指示した結果として首を切り、残った者に2倍から3倍の成果を求めるアプローチは、現場の信頼を著しく損ないかねません。AIによる未来の働き方を掲げる企業自身が、極端な人員整理に依存している姿には危うさが残ります。

情報源 (2)

  1. [1]
    @michakaufman(新しいタブで開きます)原文x.com
  2. [2]
    techspot.com(新しいタブで開きます)報道techspot.com

毎日のAIピックアップ