Factory、AI開発コストを最大25%削減する「Factory Router」発表
Factoryは開発タスクに応じて最適なAIモデルを自動選択するFactory Routerを発表した。定常作業を軽量モデル、高度な推論を最先端モデルに振り分けることで、Claude Opus 4.7比96〜99%の精度を保ったままコストを20〜25%削減する。現在はプライベートプレビューとして提供されている。

ドキュメントの誤字脱字の修正や簡単なリファクタリングに、もっとも高価な最上位AIモデルを使い続けるのは、熟練エンジニアに雑用だけを押し付けているようなものです。
しかし現場では、精度低下を恐れるあまり誰もが最上位モデルをデフォルトに指定しがちです。Factoryは6月1日、そうしたトークン費用の無駄遣いを抑制する新機能「Factory Router」を発表しました。
現在、Factory CLIおよびデスクトップアプリ向けにプライベートリサーチプレビューとして提供されています。タスクの性質に応じて最適なモデルへ自動で振り分ける仕組みです。
最上位モデルの浪費を防ぎ、失敗時は自動昇格
Factoryによると、企業のAI利用コストが急増している主因は、ドキュメント修正や小規模なバグ修正、検索中心の調査といった定型作業にまで最高性能モデルが使われている点にあります。
Factory Routerは、フロンティアモデルと低コストな高効率モデルのプールから最適なものを選択します。もし選択された安価なモデルがタスク処理に手こずった場合は、自動的により上位のモデルへセッションを引き継ぎ、完了品質を担保します。
Claude Opus 4.7を基準としたベンチマークでは、コストを20%から25%削減しつつ、Terminal-Bench 2でOpus比99%、Legacy-Benchで96%の成功率を維持しました。
完遂したタスクのみで計算した場合の1成功あたりコストも、Opus単体と比べてTerminal-Bench 2で80.5%、Legacy-Benchで78.0%に抑えられています。なお極端なルーティングを行うと、Legacy-Benchで費用は30%まで下がるものの成功率も49%まで急落したため、同社は品質が維持できる領域に絞って運用していると説明しています。
さらに、特定事業者のレート制限や障害発生時には別のプロバイダーへ自動でトラフィックを逃がすことで、99.9%以上の可用性を確保しており、管理者がルーティング方針を制御する機能も備えています。
なぜ重要か
AIコーディング支援ツールの競争が、単なるベンチマークスコアの競い合いから、企業導入に耐えうる実用的なコスト最適化へと移り変わっていることを示しています。
開発組織にとって、自律エージェントを大規模に稼働させる際の最大の壁は従量課金コストの膨張です。Factory Routerのようにタスクごとの適材適所を自動化できれば、エンジニアにモデル選びの手間を強いることなく、安全に予算をコントロールできます。
私たちが評価したいのは、安価なモデルで失敗した際に上位モデルへフォールバックする設計です。これにより現場が抱く失敗への不安を払拭できます。一方で、判別の迷いによるレイテンシの増加や、複数モデルを跨ぐことによる挙動のわずかな差異が開発体験にどう影響するかは注視が必要です。
今後はモデルそのものの賢さだけでなく、こうした賢い交通整理を標準装備した開発プラットフォームが企業の支持を集めることになりそうです。
情報源 (1)
- factory.ai(新しいタブで開きます)原文factory.ai