SpaceXの上場でイーロン・マスク氏の純資産が1兆ドル突破、初の兆万長者に
SpaceXのIPOに伴い、イーロン・マスク氏の資産額が1兆ドルを突破した。同社は今年ロケットやAI、SNS事業を統合しており、再利用型ロケットでAIデータセンターを宇宙に打ち上げる「軌道上AIコンピューティング」構想を掲げている。

1916年にジョン・D・ロックフェラーが世界初の大富豪(ビリオネア)となってから110年。人類の個人資産の記録がついに13桁、1兆ドル(トリリオネア)の大台を突破しました。
宇宙開発大手SpaceXの新規株式公開(IPO)に伴い、イーロン・マスク氏の純資産が紙の上で1兆ドルを超え、世界初の「トリリオネア」となりました。
史上最大のIPOで750億ドルを調達
SpaceXのIPOは、株式市場の歴史を大きく塗り替えました。売り出された5億5560万株は1株あたり135ドルで値決めされ、一晩で750億ドル(約11兆円以上)を調達しました。
これは2019年のサウジアラムコによる過去最高記録(294億ドル)を2倍以上上回る規模です。この公募価格に基づくSpaceXの企業価値は1.77兆ドルに達し、テスラを抜いて米国で7番目に価値の高い上場企業となりました。
ナスダック市場(ティッカーシンボル:SPCX)での初値は150ドルを付け、マスク氏が資産1兆ドルに到達するために必要とされていた138ドルの基準を大幅に上回りました。個人投資家への割当が約30パーセントと通常の3倍近くに達したほか、上場から15営業日以内にNasdaq 100指数に組み入れられる可能性があります。
上位4人の合計に匹敵する資産
IPO前の時点でマスク氏の総資産は約8000億ドルと推定されていました。同氏が保有する約3200億ドル相当のテスラ株に加え、SpaceXの株式48億株が今回の評価額に算入されています。
フォーブスによると、現在のマスク氏の個人資産は、世界の大富豪ランキングで次点につけるラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン、ジェフ・ベゾス、ラリー・エリソンの4人の資産合計(約1兆ドル強)に匹敵します。ベゾス氏やエリソン氏の資産ですら、マスク氏の4分の1に届きません。
マスク氏は議決権の85パーセントを単独で握っており、支配体制は盤石です。また、過去20年間で約400億ドルを出資してきたVC勢や、約680億ドル相当の株式を持つヴァラー・マネジメントのアントニオ・グラシアス氏、約1260万株を保有するCOOのグウィン・ショットウェル氏ら初期の貢献者にも莫大な富がもたらされました。
## なぜ重要か
2025年実績で売上高187億ドルに対し49億ドルの最終赤字を計上している企業に、市場は1.8兆ドル近い企業価値をつけました。この評価は現在のロケット打ち上げ事業だけでなく、宇宙空間にAIデータセンターを配置する「軌道上AIコンピューティング」や火星都市構想といった、極めて遠い未来の成長シナリオに基づいています。
この動きは、マスク氏にとって非常に巧妙な一手だと考えられます。宇宙インフラ、AI、ソーシャルメディアを束ねることで、莫大な設備投資が必要な宇宙AI基盤や半導体工場への資金供給を、公募市場の投資家から一気に引き出すことに成功したからです。
一方で、この規模と権力の集中には懸念も残ります。1人で85パーセントの議決権を保持し、資産が毎分100万ドル以上のペースで増えるマスク氏に対し、米国内外からの政治的反発や規制当局の監視が一層強まることは避けられないと見られます。
情報源 (2)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com