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米イーライリリー、10億ドル超の研究資産に基づくAI創薬基盤「TuneLab」提供開始

公開 拡散指数 31

Eli Lillyはバイオテクノロジー企業向けにAI創薬プラットフォーム「TuneLab」を発表した。10億ドル以上を投じて蓄積した安全性や前臨床データを活用したAIモデルを、連合学習によって各社の機密データを保護したまま利用可能にする。

創薬AIの現場において、最大のボトルネックはアルゴリズムではなく、膨大な実験データです。数多くのスタートアップが高度な機械学習技術を持ちながらも、検証用データの不足によって実用化の手前で足踏みしてきました。

米製薬大手イーライリリー(Eli Lilly)は9月9日、自社が長年蓄積してきた研究データに基づく創薬AIモデルを外部のバイオテック企業に開放するプラットフォーム「Lilly TuneLab」を発表しました。第1弾として提供されるモデル群には、10億ドル超の投資によって得られた独自の実験データが組み込まれています。

連合学習で守る機密とデータ還元の仕組み

TuneLabのモデルは、数十万種類に及ぶ固有分子の薬物動態、安全性、前臨床試験データなどを基盤に構築されています。

リリーのチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるDaniel Skovronsky氏は、小規模な企業でもリリーの社内研究者と同じAI能力を活用できるようにするイコライザー(格差解消ツール)だと位置づけています。

利用には条件が設けられています。採択されたパートナー企業は、モデルの継続的な精度向上のために自社のトレーニングデータを提供する義務を負います。

機密データの漏洩を防ぐため、プラットフォームは第三者機関がホスティングし、連合学習(フェデレーテッド・ラーニング)を採用しています。これにより、参加企業もリリーも、互いの生データを直接開示することなくAIモデルを活用・共同改善できます。今後はプラットフォーム限定の生体内(in vivo)低分子予測モデルも追加される予定です。

なぜ重要か

今回の取り組みは、単なるスタートアップ支援にとどまらず、創薬エコシステム全体のデータを囲い込む極めて戦略的な一手だと考えられます。

バイオテック企業にとっての価値は明確です。前臨床段階で失敗する可能性が高い分子を早期にスクリーニングできれば、数千万円から数億円規模の開発資金と時間を節約できます。特に資本力に乏しいシード期の企業にとっては、10億ドル規模の実験結果にアクセスできるメリットは計り知れません。

一方で懸念もあります。連合学習で秘匿されるとはいえ、独自データをモデルに還元する以上、自社の研究成果が間接的にリリーや競合の糧になるリスクはゼロではありません。提携時の契約内容や知財の境界線については慎重な見極めが求められます。

リリーはすでに投資部門や共同ラボを通じて初期創薬の支援網を敷いていますが、ここにTuneLabが加わることで、データ面での強力なハブが完成します。有望なパイプラインを早い段階で発掘し、提携や買収につなげる手段として、製薬大手のAI活用モデルに新たな基準を示したと言えます。

情報源 (1)

  1. [1]
    investor.lilly.com(新しいタブで開きます)原文investor.lilly.com

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