ElevenLabs、架空の音声をゼロから作成できる新生成AI機能を発表
ElevenLabsは架空の合成音声をゼロからデザインできる生成AIモデルを発表した。性別、年齢、アクセントなどを設定するだけで、これまで存在しなかった声を生み出せる。本機能は2月にVoice Labで提供開始予定。
ChatGPT や画像生成 AI が大きな話題を集める一方で、音声分野の生成 AI はまだ十分に注目されていない領域でした。しかし、オーディオブックの制作やゲーム開発において、既存のプリセット音声では他社と被り、プロの声優を雇う予算はないという悩みは常に付きまといます。
音声 AI スタートアップの ElevenLabs は 1 月 11 日、実在しない全く新しい合成音声をゼロから作り出せる生成音声モデルを発表しました。「Design Voice」と呼ばれるこの機能は、同社のプラットフォーム Voice Lab の一部として 2 月に提供が開始される予定です。
パラメータを設定して架空の声を生成する
従来の音声合成は、あらかじめ用意されたスピーカーリストから選ぶか、実在する人物の声を録音してクローンを作成する手法が一般的でした。前者はオリジナリティに欠け、後者は権利や倫理面のリスクが伴います。
ElevenLabs は、音声の特徴を表すベクトル表現である「話者埋め込み(speaker embeddings)」に着目しました。この埋め込み空間からサンプリングを行う専用モデルを訓練することで、理論上無限の新しい音声を生成できるようにしています。
ユーザーは性別、年齢、アクセント、ピッチ、話し方のスタイルといった基本属性を指定して音声を生成します。同じパラメータの組み合わせを選んだ場合でも、生成ボタンを押すたびに過去に存在しなかった全く異なる声が生み出される仕組みです。
この機能により、インディーゲームの開発者は予算を抑えながら多数の NPC に固有の声を与えることができます。また、ニュース配信者や企業は自社ブランド専用のナレーション音声を確保でき、オーディオブック作家も作品独自の語り手を作り出すことが可能になります。
懸念される権利侵害や声優の雇用問題に対して、同社は声優が自身の声をライセンス提供して収益を得られる仕組みを構想していると説明しています。また、悪用対策として生成された音声を追跡できる電子透かし技術の開発も進めているとのことです。
なぜ重要か
実在する声の模倣ではなく、架空の声を無限に生み出すアプローチは非常に合理的だと考えられます。
個人クリエイターや中小規模のスタジオにとって、この技術の実用性は極めて高いと言えます。誰かの声に依存しないため肖像権や契約トラブルを回避でき、既製の音声ライブラリを使って競合コンテンツと声が重複する心配もありません。これまで音声の収録を諦めていたテキスト中心のコンテンツに、手軽に高品質な音声体験を付加できるようになります。
音声合成業界にとっても、競争の軸が単なる読み上げ品質の競争から、キャラクターや声そのものをデザインするプロンプト型の生成へと移行する契機になります。
一方で、生成された音声の真正性をどう担保するかという課題は残ります。電子透かしを導入する方針は示されているものの、インターネット上で音声ファイルが再圧縮・加工された後も追跡性が維持できるのか、安全性の実効性については慎重に見極める必要があります。
情報源 (1)
- blog.elevenlabs.io(新しいタブで開きます)原文blog.elevenlabs.io