ElevenLabs、プロ声優と連携した新デフォルト音声を公開 表現力と音質を向上
ElevenLabs は音声合成および Projects Alpha 向けに新しいデフォルト音声を公開した。プロの声優と提携し、30 分の録音データを基にした高品質音声クローン技術で制作。アイルランドやイタリアなどのアクセントや多彩な感情表現に対応した。同社は著作権を保持せずライセンス契約を結んでおり、生成ごとの報酬モデルも検証中だという。

動画制作やポッドキャストで AI 音声を使う際、機械的な平坦さや、権利関係がクリアかどうかの不安に悩まされた経験を持つクリエイターは少なくありません。
ElevenLabs はこの課題に対応するため、音声合成および Projects Alpha 向けに新しいデフォルト音声の提供を開始しました。単に種類を増やしただけでなく、プロの声優と正式に提携し、その演技力を取り入れた点が特徴です。
30 分の収録で実現する多彩な演技と方言
今回の新音声は、同社が近日公開予定の「プロフェッショナル音声クローン(Professional Voice Cloning)」技術を活用して制作されました。特定の発声スタイルに沿った約 30 分の収録音声を基にトレーニングが行われています。
音質はクリアで表現力も大幅に広がっており、穏やかで優しい語り口から深く力強いトーンまで、アニメ、ゲーム、オーディオブックなど幅広い用途に対応します。
アクセントの選択肢も拡充され、従来の英米方言に加えて、新たにアイルランド、スウェーデン、イタリアのアクセントが加わりました。UI 面でもドロップダウンやフィルター機能が刷新され、目的の声を素早く探し出せるようになっています。
なおサポート文書によると、これまでの旧デフォルト音声は 2026 年 12 月 31 日に期限切れとなり、今後は今回の新しいデフォルト音声へと移行していく設計です。
著作権は保持せず、生成ごとの分配モデルも試験
技術以上に注目されるのが、声優との権利関係に関する方針です。
ElevenLabs はこれらの音声の著作権を自社で保持せず、あくまでライセンス契約を結んでいると説明しています。声優側には、現行で 1 年間に設定された期間の終了後にパートナーシップを終了する自由が認められています。
さらに同社は、声優が自身のメインではない発声スタイルに挑戦して追加の報酬を得られる機会を設けたほか、今後数か月以内に「音声生成ごとに声優へ報酬を支払う」シェア型モデルの実証実験を開始する計画も明らかにしました。
生成 AI と実演家の対立が続く中、共存に向けた具体的な仕組み作りを進めています。
なぜ重要か
クリエイターや開発者にとって、今回のアップデートは制作クオリティを直ちに引き上げる現実的な武器になります。権利侵害のリスクを警戒することなく、ゲームの吹き替えや多言語コンテンツにスタジオ品質の表現力豊かな音声を組み込めます。
業界全体にとっても、無断学習が批判を浴びるなかで「短時間の正規収録と継続的な報酬分配」という現実的な協業モデルを提示した意義は小さくありません。
私たちは、このアプローチを極めて合理的だと評価しています。買い切りではなく生成実績に応じたレベニューシェアを模索することで、声優にとっては新たな収益源となり、プラットフォーム側は高品質でクリーンな資産を独占的に確保できるからです。
配分比率の透明性や運用の実効性といった課題は残るものの、AI 音声がプロの表現者を排除するのではなく協業のパートナーとして取り込む道筋を示した一歩と言えます。
情報源 (2)
- elevenlabs.io(新しいタブで開きます)原文elevenlabs.io
- elevenlabs.io(新しいタブで開きます)報道elevenlabs.io