ElevenLabs、超低遅延音声認識「Scribe v2 Realtime」を公開
ElevenLabsは音声エージェント向けリアルタイム文字起こしモデル「Scribe v2 Realtime」を発表しました。150ミリ秒未満の低遅延で90言語に対応し、会話中の言語切り替えも自動検出します。即日APIやAgents機能から利用可能です。

音声AIエージェントと会話していて、話終わりに生じる一瞬の沈黙に違和感を覚えた経験は誰にでもあるはずです。
音声生成AIで知られるElevenLabsは2025年11月11日、超低遅延のリアルタイム文字起こしモデル「Scribe v2 Realtime」を発表しました。
同モデルは会話型AIエージェントや会議アシスタント、ライブ字幕などでの利用を想定して設計されています。英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ヒンディー語、日本語など90以上の言語に対応し、150ミリ秒未満での文字起こしを実現します。
また、欧州およびアジアの主要30言語において93.5%の認識精度を達成したと公表されています。
150ミリ秒未満を支える予測技術と耐障害性
リアルタイム性を突き詰めるため、Scribe v2 Realtimeにはユニークな機能が複数組み込まれました。
その一つが「ネガティブ・レイテンシー」と呼ばれる仕組みです。発話の最中に次の単語や句読点を先回りして予測することで、体感的な遅延を極限まで削り取ります。
また、会話の途中で話す言語を切り替えても自動で検知して追従できる自動言語検出機能を備えています。
通信が不安定な現場を考慮した設計も特徴です。「テキスト・コンディショニング」機能により、回線切断から復帰した際も直前の会話バッチの文脈を引き継いで文字起こしを継続できます。
さらに、発話区間を検出するVAD機能や、文字起こしテキストの確定タイミングを開発者が細かく制御できる手動コミット機能も用意されました。48kHzのPCMやμ-lawといった音声フォーマットにも対応します。
ノイズ混じりで複雑な情報を含む500件の高難度テスト環境において、他の競合モデルを大幅に上回るスコアを記録したとしています。
同モデルはすでにElevenLabs APIおよび「ElevenLabs Agents」経由で提供が始まっており、HIPAAやGDPR準拠、データ非保持モードといったエンタープライズ向けセキュリティも整っています。
なぜ重要か
カスタマーサポート窓口や音声通話ボットを開発しているエンジニアにとって、今すぐ検証する価値のあるアップデートです。
これまでは文字起こし、言語モデル、音声合成を別々のサービスで繋ぎ合わせるケースが多く、システム間の往復が遅延の原因になっていました。ElevenLabsが自前で150ミリ秒未満の入力エンジンを提供したことで、同社の高品位な音声出力と直結した高速な対話ループが構築しやすくなります。
業界全体で見れば、Deepgramなどの既存の音声認識特化ベンダーに対する直接的な宣戦布告と言えます。エンドツーエンドの音声モデルが台頭する中でも、企業の業務利用ではテキストデータによるログ保存やコンプライアンス管理が欠かせません。
そうした実務ニーズに対し、テキストを経由するアーキテクチャのまま遅延の壁を崩しにきた点は極めて現実的で賢いアプローチだと私たちは考えます。
情報源 (2)
- elevenlabs.io(新しいタブで開きます)原文elevenlabs.io
- @elevenlabsio(新しいタブで開きます)議論x.com