DJI、走行中の車両から離陸できるドローン格納庫「Dock 3」を発表
DJIは走行中の車両からの離陸に対応した新型ドローン格納庫「DJI Dock 3」を発表した。Matrice 4Dおよび4TDドローン向けで、IP56の防塵防水やマイナス30度から50度までの耐環境性能を備える。通信距離は最大10kmで、価格は2万1059ドルからとなる。

産業用ドローンの点検作業はこれまで、現場に操縦者を派遣するか、特定の場所に固定型の格納ステーションを設置するかの二者択一でした。
DJIはその前提を車輪の上に載せようとしています。同社は自動格納ステーションの第3世代となる「DJI Dock 3」と、これに対応する新ドローン「Matrice 4D」および「Matrice 4TD」を発表しました。
最大のトピックは走行中の車両からの離陸に対応した点です。オプションのジンバルマウントアクセサリーを装着することで、車両を停止させることなくドローンを上空へ放つことが可能になりました。
一般的なピックアップトラックの荷台にはDock 3を2台並べて積載でき、走行しながら2機のドローンを同時に展開できます。
マイナス30度への対応と通信距離の拡張
車載対応だけでなく、耐環境性能も引き上げられました。防塵防水性能はIP56等級へ向上し、動作対応温度はマイナス30度から50度まで拡大されています。極寒環境では起動前の予熱機能が作動する仕組みです。
従来モデルと同様に、気象観測ユニット、監視カメラ、通信アンテナ、非常用バックアップバッテリーを本体に内蔵しています。外部電源とネット接続が必要な点は変わりませんが、4G通信ドングルを追加すれば遠隔地での運用にも対応します。
ドローンとの通信距離は標準で最大10キロメートルです。高層ビルの屋上などへ固定設置し、高所中継器を組み合わせた場合は最大25キロメートルまで運用半径を伸ばせます。
専用機のMatrice 4Dと4TDはIP55等級の防塵防水と耐凍結プロペラを備え、最大47分の飛行が可能です。広角、中望遠、望遠の3眼カメラを標準装備し、上位の4TDには赤外線サーマルカメラと近赤外線補助ライトが追加されています。
価格はエンタープライズ向けの設定です。Matrice 4Dとのセットが2万1059ドル、Matrice 4TDとのセットが2万3409ドルからとなります。車載用マウントの単体価格は未公表で、設置費用やソフトウェア機能の追加料金は含まれていません。また飛行ルートは作業員による事前プログラミングが必要であり、米国では目視外飛行の認可取得が前提となります。
なぜ重要か
DJIは固定型の産業資産を、機動的な現場ツールへと進化させました。
送電線や石油パイプラインなど、何百キロにも及ぶ長距離インフラの点検において、固定型ドックを等間隔で敷設するのはコスト面で現実的ではありませんでした。かといって作業員が歩いて点検するのでは効率が追いつきません。
走行中の車両から離陸できるようになれば、パトロール車両をそのまま移動基地局として運用できます。現場の滞在時間を大幅に削り、点検効率を跳ね上げられるため、高価格なシステムであってもインフラ企業にとっては投資回収が早い選択肢になり得ます。
ドローン業界全体で見ても、DJIは民生用だけでなく産業用ソリューションの参入障壁をさらに引き上げました。ハードウェアの耐久性と熱狂的な現場ニーズの落とし込みにおいて、競合他社が追随するのは容易ではありません。
課題となるのは各国の航空法規制です。走行中の発進は気流や動的バランスの制御がシビアなうえ、多くの国で目視外飛行には厳しい審査が課されます。現場でどれだけスムーズに運用認可が下りるかが、普及速度を左右することになりそうです。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com