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業界動向

デルタ航空がAIで航空券の「個人別最高値」を算出、年内に20%へ拡大へ

公開 拡散指数 44

報道によると、デルタ航空はFetcherrのAIを導入し、乗客が支払いを容認する限界の最高価格をリアルタイムに算出する動的価格設定を推進している。現在3%のチケットに適用され、年内には20%へ拡大予定。増収効果を歓迎する一方、プライバシー侵害や搾取的な価格設定への批判が強まっている。

デルタ航空がAIで航空券の「個人別最高値」を算出、年内に20%へ拡大へ
画像:theverge.com

航空券を検索するたびに値段が変わる現象には慣れている人も多いはずですが、デルタ航空はその仕組みをさらに推し進めようとしています。狙いは、乗客が支払ってもよいと考えるギリギリの上限額をAIに割り出させ、その金額を提示することです。

米Fortuneが伝えたところによると、デルタ航空のグレン・ホーエンスタイン社長は直近の決算説明会で、個別最適化したAI価格設定のテスト結果が驚くほど良好だったと明かしました。同社は今後、固定的な運賃設定から完全に脱却する方針です。

24時間稼働する「スーパーアナリスト」

ホーエンスタイン社長は投資家に対し、特定のフライト、特定の時間において、個人ごとに異なる専用の運賃を提示できるようにすると説明しています。

この仕組みを支えているのは、イスラエルのFetcherrが開発したシステムです。同社はヴァージン・アトランティック航空、アズールブラジル航空、ウエストジェット航空、ビバアエロブスとも提携しています。デルタ航空においては、24時間稼働のスーパーアナリストとして振る舞い、乗客ごとの最適運賃をリアルタイムに算出します。

導入は急速に進んでいます。昨年は全体の1パーセントの航空券で試験運用を始めましたが、現在は3パーセントに適用されており、今年末までにはその比率を20パーセントまで引き上げる計画です。

ホーエンスタイン社長はこの取り組みを運賃設定の完全な再構築と位置づけています。ただし、適切な管理のもとで正しく運用しなければ非常に危険なものになり得るとも認めています。

「脳のハッキング」と批判の声

航空会社が予約時期や使用ブラウザなどの条件によって運賃を変える手法自体は、以前から存在していました。しかし、個人単位での価格最適化はプライバシー面で強い懸念を呼んでいます。

デルタ航空は5月にも、単独の旅行者に対してグループ予約よりも割高な運賃を設定していたことが発覚し、批判を受けて撤回した経緯があります。

米消費者権利団体Consumer Watchdogのジャスティン・クロチコ氏は、デルタは人々がいくらまでなら払うか頭の中を覗こうとしており、実質的に乗客の脳をハッキングしていると批判しました。また、アリゾナ州のルーベン・ガエゴ上院議員も、最後の1セントまで絞り取る略奪的な価格設定だと厳しく非難しています。

なぜ重要か

デルタ航空のこの動きは、利益の最大化という点では合理的ですが、顧客との信頼関係においては極めて危うい賭けだと私たちは考えます。

一般の乗客にとっては、これまで通用していたクッキー削除やシークレットモードでの価格比較といった自衛策が無力化される恐れがあります。隣り合う座席に座っている乗客同士が、購入時期ではなく「どこまで支払える客と見なされたか」によって全く違う運賃を払わされる不条理が日常化しかねません。

航空業界全体への影響も小さくありません。Fetcherrはすでに複数の航空会社に技術を提供しており、デルタ航空がこの取り組みで収益を伸ばせば、他社も追随して個人別ダイナミックプライシングを標準装備にする可能性があります。

デルタ航空の手法は巧みですが、監視社会的なアルゴリズムに対する世間の反発は強まる一方です。規制当局による調査が入れば、アルゴリズムによる差別的価格設定として厳しい制裁を受けるリスクも抱えており、同社が掲げる年内20パーセントという目標の達成には相当な逆風が予想されます。

情報源 (1)

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    theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com

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