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研究

DeepPrincipleが7530億パラメータの科学特化モデル「Hydrogen-1.0」をオープン公開

公開 拡散指数 37

DeepPrincipleは化学・材料・生命科学に特化した7530億パラメータのオープンモデル「Hydrogen-1.0」を公開した。GLM-5.3を基盤に実際の実験軌跡で追加学習され、シミュレーションコードの自己修復やNMRスペクトル解析、ロボット実験プロトコルの生成が可能。一部タスクでGPT-6-Astraを上回る成果を示している。

DeepPrincipleが7530億パラメータの科学特化モデル「Hydrogen-1.0」をオープン公開
AI 生成画像

AIにプログラミングを任せること自体は珍しくなくなりましたが、分子動力学シミュレーションでエラーが出た際、自力でエラーログを読み解いて設定ファイルを直し、計算を最後まで完走させるモデルとなると話は別です。

DeepPrincipleは、化学・材料科学・生命科学に特化したオープンウェイトモデル「Hydrogen-1.0」を公開しました。総パラメータ数は7530億に達し、GLM-5.3をベースに大規模な事後学習を施した構成となっています。

科学的推論ベンチマークのFrontierScience-Researchにおいて、Hydrogen-1.0はGPT-6-Astraを上回るスコアを記録しました。難関テストであるGPQA-Diamondsでも基底のGLM-5.3を大きく超え、Kimi-K3などのオープンフロンティアモデルに迫る水準を達成しています。

エラー自己修復から実験ロボットの制御まで

Hydrogen-1.0が優れているのは、学術論文の要約にとどまらず、実際の研究現場における泥臭いワークフローを代行できる点です。

ポリエチレンの分子動力学シミュレーションでは、モデル自らPythonスクリプトを記述してGROMACSを実行しました。その過程でトポロジーの記述ミスを検知すると、自らコードを修正して再実行し、40ナノ秒におよぶ軌跡データから密度や拡散係数を正確に算出しました。

有機合成や構造解析でも高い能力を発揮します。1H NMRスペクトルの低磁場シグナルや芳香族領域の重なりを手がかりに生成物の候補構造を同定したほか、アイルランド・クライゼン転位における30通りの反応経路からなるネットワークを構築し、各経路の活性化障壁を比較検討しました。

さらに実用的なのが実験プロトコルのコンパイル機能です。12本のバイアルを用いた鈴木・宮浦クロスカップリング反応の手順を作成した際、仮想環境内で事前検証を実施しました。ロボットアームが新しいチップを装着せずに溶液を吸引しようとする不整合を自ら発見し、手順を修正した上で実行用JSONデータを出力しています。

失敗した実験ログから「研究者の直感」を学ぶ

従来のAIが学習する論文データには、成功した実験しか載っていません。しかし実際の研究では、失敗した試行錯誤こそが次の判断材料になります。Hydrogen-1.0の開発チームは、電子実験ノートに記録された失敗ログや修正の全過程をデータセットとして投入しました。

教師あり微調整と強化学習を組み合わせることで、手探りの探索から最適な解を導く直感を獲得させています。遷移金属錯体のバンドギャップ最大化を狙った5サイクルの探索実験では、Hydrogen-1.0が到達した最高値は4.318 eVとなり、GPT-6-Astraの3.689 eVを明確に引き離しました。

モデルの重みはHugging Face上で公開されており、完全版に加え、NVIDIA環境向けのFP4版やAMD環境向けのMX版が用意されています。ただし、最も軽量なFP4版であっても約464GBの容量があるため、複数台の高性能GPUを組み合わせた環境が不可欠です。

なぜ重要か

Hydrogen-1.0の登場は、科学特化型AIが閉鎖的な研究室の特権からオープンな共有基盤へシフトする契機になると考えられます。

先端的な科学AIの成果はこれまで大手テック企業による独占的なAPI提供や論文報告に限られ、外部の研究者がモデルの内部挙動を検証したり自前で拡張したりすることは困難でした。7530億パラメータという世界最高峰クラスの科学モデルが重み付きで公開されたことは、世界中の大学や創薬ベンチャーにとって極めて大きな価値があります。

特に、実験ロボットに指令を送る前に仮想環境でエラーを検出するアプローチは非常に合理的です。高価な試薬や自動化機器を破壊するリスクをソフトウェア側で未然に防げるため、自律型実験室の安全対策として実効性があります。

一方で、運用コストの壁は依然として存在します。量子化されたFP4版ですら464GBを要するため、個人の研究者が手元で試せる規模ではなく、専用のクラスタを持つ組織に限られます。またNMR構造解析など一部の高難度タスクでは依然としてクローズドの最上位モデルに譲る部分もあります。それでも、オープンモデルが最先端科学の現場で実働できるレベルに到達した意義は間違いなく大きいです。

情報源 (1)

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    blog.deepprinciple.com(新しいタブで開きます)原文blog.deepprinciple.com

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