DeepL、リアルタイム音声翻訳「DeepL Voice」提供開始
DeepLは初の音声プロダクト「DeepL Voice」を発表した。英語や日本語など13言語の音声をリアルタイムで聞き取り、33言語のテキスト字幕へ即座に翻訳する。対面会話やTeamsでのオンライン会議向けにテキストで提供され、現時点では音声出力やAPIは非対応となる。

多言語でのオンライン会議や海外での対面コミュニケーションで、最もストレスになるのは翻訳のタイムラグです。数秒の沈黙が生じるだけで、会話のテンポは一気に崩れてしまいます。
高精度なAI翻訳で知られるドイツのDeepLが、ついに音声領域へ参入しました。同社は11月13日、音声をリアルタイムで聞き取り、テキストとして翻訳・表示する新サービス「DeepL Voice」を発表しました。
画面を挟んで会話する対面モードとTeams連携
DeepL Voiceは、対面での会話とオンラインビデオ会議という2つの具体的な利用シーンに特化して設計されています。
対面利用ではスマートフォンの画面を向かい合う2分割表示にするミラーモードが用意されており、テーブルの中央に端末を置くことで、双方が相手の発言の翻訳テキストをリアルタイムに確認できます。
オンライン会議については、現時点で対応しているのはMicrosoft Teamsのみです。発言内容が画面下部にリアルタイム字幕として流れる仕組みで、ZoomやGoogle Meetへの対応時期については明らかにされていません。
音声入力として聞き取れる言語は、英語、日本語、ドイツ語、韓国語、フランス語、スペイン語など13言語に対応。翻訳先のテキスト字幕は、従来のDeepL翻訳が対応している全33言語で出力可能です。
なお、今回の製品は合成音声による読み上げを行わず、テキスト表示のみに絞っています。CEOのヤレック・クティロフスキー氏によると、音声合成を挟むと遅延が発生し、現場での自然な対話が成り立たなくなるため、計算速度を最優先してテキスト出力に特化したとのことです。
音声データはクラウド側で処理されますが、データは保存されず、LLMの学習にも使用されないため、GDPRなどのプライバシー基準を厳格に遵守していると説明しています。
なぜ重要か
日常的に海外拠点とTeamsでミーティングを行っている企業や、多言語対応が求められる接客の現場にとって、DeepL水準の翻訳がリアルタイム字幕で手に入る価値は極めて高いといえます。現時点ではAPIの一般公開がなく、Teams以外のツールでは使えない点が制約となりますが、実用性は十分です。
業界全体に目を向けると、ElevenLabsやPanjayaなどの新興勢力が音声クローンやリップシンクなどのリッチな演出に向かうなか、DeepLはあえてテキスト字幕と低遅延に絞り込みました。なお、ElevenLabs自身も翻訳エンジンにDeepLの技術を採用しているとクティロフスキー氏は明かしています。
私たちは、このDeepLの割り切りは非常に賢明だと考えます。ビジネスの現場において、不自然なラグを生む音声読み上げよりも、瞬時に正確な意味が伝わる字幕のほうがはるかに実用的だからです。派手な機能に飛びつかず、自社の強みである翻訳品質と速度を突き詰めた堅実な一手といえます。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com