コカ・コーラがAIと開発した限定フレーバー「Y3000」を発表
コカ・コーラは火曜日、「未来の味」をテーマにした限定飲料「Y3000」を発表した。人間が思い描く未来の味のイメージを分析し、AIを使って風味の組み合わせを考案。パッケージ制作にもAI生成画像を活用しており、缶には「AIとの共同創造」と明記されている。若年層の関心を引くための新たな試みだ。

もし誰かに「西暦3000年の味がする」と缶コーラを渡されたら、喉が渇いていなくても一度は口をつけてみたくなるはずだ。
コカ・コーラは限定フレーバーの新作として「Coca-Cola Y3000」を発表した。最大の特徴は、人工知能(AI)を活用して味覚プロファイルとパッケージデザインの両方を共同開発した点にある。米国とカナダで期間限定販売され、通常版とゼロシュガーの2種類を用意。価格は通常のコカ・コーラと同じに据え置かれている。
人間の声を集め、AIが組み合わせを導く
開発はAI任せの完全自動で行われたわけではない。広報担当者によると、同社はまず消費者を対象に調査を行い、人々が「未来」と結びつける味覚のイメージを抽出した。
その集めたデータをもとに、AIを使ってフレーバーの組み合わせや風味のプロファイルを分析・決定したという。同社のグローバル戦略シニアディレクターを務めるOana Vlad氏が過去に明かしたところでは、こうした限定製品は全体の85〜90%を本来のコーラ味が占め、残りの10〜15%に予想外のアクセントを加える設計になっている。
パッケージデザインにもAI生成画像から作られたムードボードが生かされた。ピンクやブルーのグラデーション、独特な泡のグラフィック、ドット絵のようなロゴなど、2000年代初頭のY2Kカルチャーを思わせる外観に仕上がっており、缶の表面には「Co-Created with AI」と明記されている。
さらに缶のQRコードをスキャンすると977年後の未来を体験できるウェブコンテンツが用意され、今秋にはストリートブランドのAMBUSHと組んだカプセルコレクションの販売も予定されている。
宇宙味からピクセル味まで続く実験
コカ・コーラは過去1年半にわたり、「Creations」プラットフォームを通じて抽象的なテーマの限定飲料を連続して投入してきた。宇宙をイメージした「Starlight」、夢の味がするという「Dreamworld」、ピクセルの味をうたった「Byte」、そしてゲーム「League of Legends」の開発元ライアットゲームズと組んだ「Coca-Cola Ultimate」などだ。
ストロベリーとスイカ味と公表されたマシュメロとのコラボ缶を除き、同社はこれらの具体的な配合を一切明かしていない。同社CEOのJames Quincey氏は昨年の講演で、これらは定番化を狙ったものではなく、バニラ味のような単純な追加フレーバーよりも消費者の関心を引きつけるための実験だと語っている。
なぜ重要か
今回の取り組みは、食品化学の技術革新というよりも、若者の炭酸離れに直面する老舗ブランドによる極めて現代的なマーケティング戦略といえる。
健康志向の高まりで糖分を控える層が増えるなか、100年以上の歴史を持つブランドが若年層の関心を引き続けるのは容易ではない。コカ・コーラの手法が巧妙なのは、味のベースの約9割を既存のコーラで守り、残りのわずかな領域だけでAIを遊ばせている点にある。消費者にとって、最新の生成AIブームを体験するコストが缶ジュース1本分で済むハードルの低さも魅力的だ。
ただし、このアプローチには課題もある。「AIが考えた味」という言葉の目新しさが薄れれば、中身がただの奇抜な炭酸飲料だと見透かされ、企画倒れに終わるリスクは常に付きまとう。それでも、AIを業務効率化の裏方にとどめず、パッケージの前面に掲げてポップカルチャーの文脈に落とし込むプロモーションとして、他業種の消費財メーカーにとっても示唆に富む事例といえる。
情報源 (2)
- chippewa.com(新しいタブで開きます)原文chippewa.com
- cnn.com(新しいタブで開きます)報道cnn.com