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研究

Anthropicが生命科学ラボを設立:ClaudeがCRISPR様の新酵素システムを自律発見

公開 拡散指数 36

Anthropicは新設の生命科学ラボの成果を公表した。約950基のClaudeエージェントが21時間かけてDNAデータベースを自律探索し、CRISPRに似た特徴を持つ新酵素システム「ART」を発見。CRISPRの先駆者であるMITのフェン・ジャン教授も注目すべき成果と評価している。

Anthropicが生命科学ラボを設立:ClaudeがCRISPR様の新酵素システムを自律発見
画像:anthropic.com

バイオテクノロジーの歴史を変えてきた画期的な発見の多くは、自然界に潜む分子の奇妙なパターンに研究者が偶然気づいたことから始まっています。PCR検査の基盤となった耐熱酵素や、ゲノム編集を一変させたCRISPRもそうした幸運な観察の賜物でした。

Anthropicはこの発見のプロセスそのものをAIで自動化しようとしています。同社は9月23日、サンフランシスコ・ベイエリアに新設した自社の生命科学研究所と、そこでClaudeが自律的に発見した新しい酵素システム「ART(array-associated reverse transcriptases)」を発表しました。

950のエージェントが21時間で発見

今回の調査では、人間の研究者は「膨大なDNAデータベースから興味深い逆転写酵素を探す」という大まかな指示を出しただけで、実際の探索作業はClaudeに委ねられました。

Anthropicは約950のClaudeエージェントを並列で走らせ、21時間と2億1000万トークンを投入しました。エージェント群は20万件を超える逆転写酵素の記録を調査し、3500の候補系を抽出した上で、最終的に20件の詳細レポートを作成しました。人間の専門家なら数週間から数か月かかる作業です。

探索中、あるエージェントはDNAの配列データを調べながら、この配列は素晴らしい、CRISPRのような反復配列が見えるとログの中で感嘆の声を上げていました。

ウイルスに潜むCRISPRに似た新システム

発見されたARTシステムは、細菌に感染する巨大ファージの中にありました。中心となる逆転写酵素自体は過去の研究で記録されていたものの、その周囲にある重要な特徴に気づいた人間はいませんでした。

ARTは逆転写酵素と未知のアクセサリータンパク質、そして等間隔に並ぶ非コードDNAの反復配列という3つの要素で構成されています。この並びはCRISPRと非常によく似ています。

Anthropicの人間の研究チームが実験室で検証したところ、この反復配列から実際に独自の短いRNA分子が発現していることが確認されました。CRISPR開発のパイオニアであるMITのフェン・ジャン教授も、逆転写酵素に関連するRNA反復配列の特定は極めて興味深いと評価しています。

なぜ重要か

AIが既存の論文を要約したり既知のパズルを解いたりする段階を超え、現実の生データから未知の仮説を自律的に拾い上げる段階に入ったことを示しています。

生物学の研究者にとって、世界中のデータベースに眠る未解析の膨大なゲノム情報は宝の山でありながら、人間の目では到底処理しきれないものでした。Claudeのように仮説生成と絞り込みを丸一日でこなすエージェントの存在は、ウェットラボの研究スピードを桁違いに加速させる実用的な武器になります。

業界全体で見ても、AIの主戦場が基礎科学の発見競争にシフトしつつあることがうかがえます。OpenAIが数学の難問解決をアピールする一方で、Anthropicは自前の生物学ラボを構え、AIの仮説を物理実験で検証する垂直統合モデルを打ち出しました。

着眼点として賢いのは、ロボットによる完全自動化ラボを目指すのではなく、AIには得意な仮説生成と論文精読を担わせ、物理的な実験は人間の手に委ねている点です。ただし、AIが21時間で数百の魅力的な仮説を生み出せるようになっても、細胞を培養し検証する物理的な実験スピードには限界があります。ARTが次世代のゲノムツールになるのか単なる知的好奇心で終わるのかは、これからの地道な実験にかかっています。

情報源 (1)

  1. [1]
    anthropic.com(新しいタブで開きます)原文anthropic.com

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