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研究

AnthropicのClaudeが量子回路を設計:8つのベンチマークを大幅更新

公開 拡散指数 37

AnthropicはClaude Mythos 5を用いて量子回路を自律設計する研究成果を発表した。化学や数论などの8つの課題すべてで既存の最高記録を上回り、最適化アルゴリズムの主要工程で計算コストを約12分の1に削減。AIが数学的洞察によって量子アルゴリズムの効率を劇的に高められることを示した。

AnthropicのClaudeが量子回路を設計:8つのベンチマークを大幅更新
画像:anthropic.com

実用的な量子コンピューターの実現を阻んでいるのは、ハードウェアの限界だけではありません。

現在の量子マシンは数百から数千量子ビット程度にとどまり、熱や振動などのノイズに極めて脆弱です。たとえば窒素固定酵素の触媒反応をシミュレーションする場合、2017年時点では約50兆個ものトフォリゲートが必要と試算されていました。その後のアルゴリズム改善によって計算量は15万分の1に圧縮されましたが、依然として回路設計の効率化が最大のボトルネックでした。

Anthropicはこの領域にフロンティアモデルを投入しました。同社のSTEMフェロープログラムにおいて、Andi Gu氏率いる研究チームは「Claude Mythos 5」に自然言語で仕様書を与え、量子回路の設計を実行させました。化学、最適化、物理シミュレーション、数論にわたる8つの計算プリミティブにおいて、Claudeは既存の公表論文における最高記録をすべて更新し、中には一桁以上コストを削減したものもありました。

人手を介さない自動評価ループ

量子プログラミングには古典的コードとは異なる厳しい制約があります。重ね合わせ状態を維持するため「if-then」条件分岐を単純に使えず、計算の可逆性を保つために途中の計算結果を自由に消去できません。メモリを解放するには「アンコンピューティング」と呼ばれる逆計算を行う必要があり、ゲート数と量子ビット数の間で極めてシビアなトレードオフが発生します。

Anthropicは、これらのアルゴリズムの正しさを古典コンピューター上で高速検証できる点に着目しました。Claudeが回路コードを提案し、外部評価プログラムが正当性を検証したうえで「量子ビット数×ゲート数」のスコアを返す自律ループを構築したのです。

53時間におよぶ模索の末、Claudeは楕円曲線暗号の基幹処理である点加算において、全く新しい剰余逆元アルゴリズムを考案しました。また、代表的な量子最適化アルゴリズムの中で最も計算負荷の高い工程を約12分の1に軽量化することに成功しました。分子シミュレーションでは対称性を見抜いて計算結果を再利用するなど、既存の微修正にとどまらない数学的洞察を示しています。

なぜ重要か

今回の成果は、AIによる科学研究(AI for Science)の極めてスマートな実践例だと私たちは考えます。

これまでの大規模言語モデルは、論文要約や補助的なスクリプト作成にとどまるケースが目立ちました。しかし今回の取り組みでは、「生成AIの発想力」と「厳密な古典プログラムによる自動採点」を組み合わせることで、ハルシネーション(幻覚)の余地を完全に排除しています。

量子業界にとって、物理的な量子ビットを増やすハードウェア開発には膨大な時間と資金がかかります。アルゴリズム側で計算負荷を10倍以上削減できるなら、それは数年分のハードウェア進化をソフトウェアだけで先取りしたことと同義です。対象が単体の計算部品(プリミティブ)に限られている点や推論コストの課題はあるものの、人間が見落としていた数学的構造をAIが独力で発見できることを示した意義は小さくありません。

情報源 (1)

  1. [1]
    anthropic.com(新しいタブで開きます)原文anthropic.com

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