Claude CodeのProjectsが刷新:複数タスクを並列処理する「参謀役」に
AnthropicはClaude Code向けに再設計した「Projects」のベータ版を提供開始した。ユーザーが目標を指示すると、Claudeがタスクを分割して複数の並行スレッドに割り振り、各スレッドが独立ブランチでテスト実行やPR作成を自律的に進める。スレッド間で共有メモリも保持される。一部のPro・Maxユーザーから順次提供される。
複数のAIセッションを使って開発を進めるとき、一番面倒なのは開発者自身がディレクター役になってタブを行き来することでした。コンテキストをあちこちに貼り付け、ブランチを切り替え、生成されたコードを手動で統合する作業です。
AnthropicはClaude CodeのProjects機能を大幅に刷新し、ベータ版として公開しました。単なるファイル置き場やフォルダではなく、複数の自律型エージェントを束ねて並行作業を管理するコーディネーターへと進化させています。
まずはWebやデスクトップ版で既存プロジェクトを持たず、クラウドセッションを利用する一部のClaude ProおよびMaxユーザー向けに提供が始まっています。
参謀のように指示を出し、スレッドに任せる
新しいProjectsの仕組みは、全体を指揮するコーディネーターと、実作業を担うスレッドに分かれています。
メインチャットで目的を伝える感覚は、チーフオブスタッフに業務を依頼するのに似ています。Claudeが要件を整理し、必要なタスクを複数の並行スレッドに割り振って進捗をまとめます。
たとえば決済処理のレイテンシを改善したい場合、目標を設定すれば、Claudeがエンドポイントごとにスレッドを立ち上げてボトルネックを調査し、最適化とテストを行い、複数のプルリクエストを同時に作成します。
非推奨のAPIを廃止する際も、Web、モバイル、バックエンドの各リポジトリを接続しておけば、リポジトリごとにスレッドを立てて呼び出し元を修正し、どのPRからマージすべきかの順序まで提示してくれます。
内部的には、各スレッドが独立したブランチとリポジトリの複製を持つClaude Codeのクラウドセッションとして動作しています。変更が重なった場合は通常のGitマージコンフリクトとして処理されます。
共有メモリで文脈を蓄積するが、利用枠には注意
プロジェクト内の全スレッドは、共有メモリとライブラリを参照できます。
リリースが金曜日に延期された理由や、決済周りのコードに触れる前に誰の確認が必要かといった背景をClaudeが記憶するため、スレッドごとに長文のプロンプトを再入力する必要がありません。作業スタイルや報告の頻度も好みに合わせて調整できます。
注意が必要なのは利用制限の消費スピードです。各スレッドがフルスペックのセッションとして動作するため、並行して走らせるとトークン上限にすぐ達してしまいます。コーディネーターや各スレッドに割り当てるモデルやエフォートレベルは個別設定が可能です。
現在はクラウド環境でのみ動作しますが、ローカル環境や手元の開発ツールとの連携も近日中にサポートされる予定です。
なぜ重要か
私たちは、エージェントの協調動作をGitのブランチやPRという開発者の標準的な作法にそのまま落とし込んだ点が非常にスマートだと評価しています。独自の抽象レイヤーを作らず、競合もマージコンフリクトとして扱えるため、開発者にとって直感的で事故が起きにくい設計です。
複数リポジトリにまたがる移行作業やパフォーマンス計測など、手間はかかるが並行処理できるタスクを抱えているエンジニアなら、試す価値は十分にあります。PCを離れてスマホから進捗を確認できる手軽さも魅力です。
ただし、社内ネットワークやローカル環境のコンテナに依存しているプロジェクトでは、ローカル実行が解放されるまで実戦投入は難しいかもしれません。また、複数スレッドによる利用枠の激しい消費は、個人開発者にとって現実的なハードルになりそうです。
とはいえ、AIコーディングツールの競争が単なるコード補完から、複数エージェントを束ねるオーケストレーションへと本格的に移行したことを示す象徴的な動きと言えます。
情報源 (2)
- claude.com(新しいタブで開きます)原文claude.com
- theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com