カリフォルニア州が年齢確認法を可決、新端末設定時の年齢入力を義務付けへ
米カリフォルニア州のニューサム知事がデジタル年齢確認法案(AB 1043)に署名した。2027年1月より、スマホやPCの初期設定時にOSやアプリストアがユーザーの年齢入力を求めることが義務付けられる。身分証提出は不要で、GoogleやMetaも法案支持を表明している。

新しいスマートフォンを購入して初期設定を行う際、Wi-Fi接続やアカウントログインに加えて、これからは「年齢の入力」が必須になるかもしれません。
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は10月13日、「デジタル年齢確認法(AB 1043)」に署名し、同法を成立させました。同時に、未成年のネット利用を保護する一連の法案群にも署名しています。
OSとアプリストアに課される新義務
この法律は、スマートフォンやPCなどの新しい端末をセットアップする際、OSおよびアプリストアがユーザーに対して年齢または生年月日の入力を求めることを義務付けるものです。施行日は2027年1月1日に予定されています。
施行日より前にすでにセットアップされた既存デバイスについても、AppleやGoogleといったOS提供事業者は、2027年7月1日までに年齢を入力させる仕組みを用意しなければなりません。
違反時の罰則は厳格で、過失による違反は影響を受けた子ども1人につき最大2500ドル、意図的な違反の場合は最大7500ドルの罰金が科される可能性があります。ただし、企業が誠実にコンプライアンスに取り組んでいる限り、誤った年齢信号に対する法的責任は免除されます。
注目すべきは、他州や海外の規制に比べてプライバシーへの配慮が見られる点です。アプリのダウンロード時に保護者の明示的な同意を義務付けたり、英国の「オンライン安全法」で大きな反発を呼んだ政府発行の身分証明書のアップロードを強制したりはしていません。
あわせて署名された関連法案には、SNSへの警告ラベル表示、AIチャットボットによる自傷行為への介入プロトコルの義務付け、ディープフェイクポルノに対する最大25万ドルの民事救済措置、AIが自律的に行動したことを理由に責任を逃れることの禁止などが盛り込まれています。
分裂する巨大テック企業
すでにユタ州、テキサス州、ルイジアナ州などが同様の法案を通していますが、加州の動きに対する企業の反応は分かれています。
Metaは以前からこの種の法案を支持してきました。自社アプリではなく、AppleやGoogleのOS側に年齢確認の責任を負わせることができるためです。一方、規制対象となるGoogleもこのAB 1043を支持しており、エコシステム全体で責任を共有するバランスの良いアプローチだと評価しています。
対照的に、Appleはこの法案への支持を表明していません。また、米映画協会(MPA)は、家族で同じ端末を使いプロファイルごとに年齢が異なる動画配信サービスなどで混乱を招くとして、法案否決を求めていました。法案を主導したバフィー・ウィックス議員は、来年に向けて懸念事項の調整を進める意向を示しています。
なぜ重要か
ユーザーにとって、セットアップ時に生年月日を入力するだけであれば、身分証の提出などに比べてハードルは低く見えます。しかし、タブレットを家族で共用している家庭では、端末全体の年齢制限と各動画配信サービスの個別プロファイルが競合し、利便性が大きく損なわれる懸念が残ります。
業界全体から見れば、加州が踏み切った影響は計り知れません。テック企業の本拠地である加州が動いたことで、AppleやGoogleはiOSやAndroidの根本的な設計に「年齢識別機能」を標準で組み込まざるを得なくなります。結果として、アプリ開発者もOSから渡される年齢信号を前提とした設計にシフトしていくはずです。
身分証の提出を避けてプライバシーの摩擦を抑えた加州のやり方は、現時点では賢明な落としどころに見えます。しかし、自己申告で生年月日を入力させるだけの仕組みでは、子どもが適当な成人年を入力すれば簡単に突破できてしまうという根本的な欠陥を抱えています。この緩い運用が実効性を持たないと判断された場合、将来的にさらに踏み込んだ個人情報提出が求められるリスクは否定できません。
情報源 (2)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
- gov.ca.gov(新しいタブで開きます)報道gov.ca.gov