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蔡國強が自作「AI Cai」とコラボ:2300機のドローン花火で描く人類とAIの未来

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2024年9月、現代美術家の蔡國強氏がロサンゼルスで、自作モデル「AI Cai」と共同設計した大規模な爆破アート公演を開催した。2300機のドローンと1万個の火薬を連動させ、AIが生成した新語や神話を昼間の煙火で表現。予測不可能な火薬とAIの共通点を通じ、人類と知能の運命を問い直している。

蔡國強が自作「AI Cai」とコラボ:2300機のドローン花火で描く人類とAIの未来
画像:theguardian.com

北京五輪の「巨人の足跡」や、燃え上がる梯子を空へ架けた「スカイ・ラダー」で知られる現代美術家の蔡国強(ツァイ・グオチャン)氏が、今度は火薬と人工知能(AI)を衝突させた。

舞台となったのは、1932年と1984年の五輪会場でもあったロサンゼルス・メモリアル・コロシアム。ゲティ財団が主導する芸術祭「PST Art」の開幕イベントとして、火薬を搭載したドローン2300機とスタンドに張り巡らされた1万個の火薬を炸裂させる、40分超の爆発パフォーマンスを披露した。

蔡氏は「火薬を使う理由は、常に驚きと予期せぬ事態があるからだ。コントロールしたいと願っても、最後は制御不能になる。それはAIとまったく同じだ」と語る。

特製モデル「AI蔡」との共同制作

今回の演出は、彼のために独自構築されたAIツール「AI蔡(AI Cai)」との対話から生まれた。このモデルには蔡氏自身の40年にわたる創作アーカイブに加え、ニーチェやアインシュタイン、プトレマイオスといった思想家のテキストが学習されており、蔡氏はこれを「ChatGPTよりもポリティカル・コレクトネスに縛られない相棒」と呼んでいる。

会場では、普段とは逆に約5000人の観客がグラウンド中央に集められ、客席スタンドには火薬を仕込んだ無数の竹竿が設置された。米中合同の花火エンジニアチームが60時間足らずで配線を完了させ、米連邦航空局(FAA)による規制緩和を受けて米国内で初となる爆発物搭載ドローン2300機の一斉飛行が実現した。

蔡氏自身の声を模した合成英語音声が響くなか、空には環境配慮型の生分解性花火と有機染料によるカラフルな煙が広がり、ロサンゼルス市の花である極楽鳥花や、AI蔡が独自に作り出した造語が煙の文字となって浮かび上がった。

プロメテウスの火と「神の怒り」

AI蔡との対話では人類の未来について前向きな答えが多かったというが、蔡氏が演出したショーの幕切れは決して明るいテクノロジー讃歌では終わらなかった。

人類に火をもたらしたプロメテウス神話を下敷きにしつつ、最終幕として用意されたのは「神の怒り(Divine Wrath)」だ。合成音声が雷鳴を呼び寄せると、コロシアムのスタンドを猛烈な爆発の連鎖が駆け巡り、轟音と地響きが観客を襲った。激しい衝撃波に思わず頭を抱えてしゃがみこむ観客もおり、頭上からは灰と破片が降り注いだ。

会場にいたAI企業の社員からは「AIは私たちを破滅させるのか、それとも美をもたらすのか。業界が模索している問いを突きつけられた」との声が上がった。

なぜ重要か

蔡国強のアプローチが極めて巧みなのは、AIというデジタル技術を画面のピクセルから引きずり出し、最も制御が難しく危険な「物理的な爆発」に直結させた点にあると考える。昨今の生成AIアートがデジタル画像や動画の範疇にとどまるなか、火薬の焦げ臭さや体を揺らす轟音という身体性をもってAIの不気味さと可能性を表現した試みは、極めて批評性が高い。

テクノロジー業界にとっても、単なる賛美や安易なディストピア論を超え、制御不能な力とどう対峙すべきかという本質的な問いを突きつける契機になる。

一方で、この手法には明らかな限界もある。数億円規模の予算、米中双方の専門エンジニア、FAAの特別許可が必要なプロジェクトは、一握りのトップアーティストにしか実行できない。また、この体験の核心である耳をつんざく爆音や戦場のような恐怖感は、SNS上の綺麗なカラー煙の写真には決して写らない。デジタルの外側にある身体感覚の重みを、皮肉にも浮き彫りにしている。

情報源 (1)

  1. [1]
    theguardian.com(新しいタブで開きます)原文theguardian.com

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