Bumble創業者、AI執事が代わりに数百人とデートする未来を構想
米マッチングアプリ大手Bumbleの創業者ホイットニー・ウルフ・ハード氏は、AI執事がユーザーに代わって他人のAIと交流・選別する未来のデート構想を語った。何百人もの相手とメッセージを交わす代わりに、AIが最適な3人を絞り込んでくれるという。

マッチングアプリで何百人もの相手と定型文のやり取りを続ける作業は、現代の婚活や恋活における最大の疲労源といえます。
マッチングアプリ「Bumble」の創業者で執行会長を務めるホイットニー・ウルフ・ハード氏は、サンフランシスコで開催された「ブルームバーグ・テクノロジー・サミット」で、この無駄なプロセスをAIに丸投げする近未来の構想を語りました。
構想によると、ユーザー専属の「AIデートコンシェルジュ」が、他のユーザーのAIコンシェルジュと自動で代理デートを行います。AIが街中をスキャンして600人と会話を済ませ、「本当に会うべきはこの3人です」と教えてくれる仕組みです。
600人のAIと代理デートする執事
この構想の狙いは、マッチングアプリで最もエネルギーを消費する初期の雑談を省力化することにあります。
趣味や出身地といった無難な質問を何十回も繰り返す代わりに、クラウド上のAI同士が必要な情報をすり合わせ、本当に相性の良い相手だけをスクリーニングします。ユーザーはソファに座ったまま、結果を待つだけで済みます。
さらにウルフ・ハード氏は、このAIが単なる代行役にとどまらず、恋愛コーチとしての役割も果たすと説明しています。
例えば「別れたばかりで恋愛に不安がある」「人との深い関わりを避けてしまう」といった悩みをAIに打ち明けると、考え方を整える手助けをしてくれたり、相手への上手な伝え方をアドバイスしてくれたりします。
恋愛コーチと「AIとの恋愛」への反論
興味深いのは、近年急増している「AIの恋人」を提供するサービスに対して、ウルフ・ハード氏が懐疑的な見方を示した点です。
彼女はAIと恋に落ちる現象を「少し不気味」とし、「一時的な流行にすぎない」と一蹴しました。Bumbleの目的はあくまで現実の人間同士が健全で対等な関係を築くことであり、AIは現実世界を支援するツールという立場を強調しています。
実際、AIパートナー分野ではトラブルが続いています。2021年には英ReplikaのAI彼女にそそのかされた若者がエリザベス女王暗殺を企図する事件が起きたほか、昨年9月にSoulmate AIがサービス終了した際には利用者に精神的苦痛を与えました。さらに2月、非営利団体Mozilla財団が11種類の恋愛ボットアプリを調査したところ、ほぼすべてのアプリが広告目的などでデータを販売または共有していた実態が明らかになっています。
Bumbleは米国市場でシェア26%を持ち、首位Tinderの27%に肉薄しています。2023年第4四半期の売上高は前年同期比13.2%増の2億7360万ドル、有料会員数は16.4%増の400万人に達しており、現実のユーザー基盤を持つ強みを活かしてAI統合を狙っています。
なぜ重要か
マッチングアプリ疲れを感じているユーザーにとって、無駄なメッセージ交換をAIが代行してくれる機能は魅力的に映ります。忙しい社会人が会う価値のある相手だけに時間を絞れるなら、大きな時短になります。しかし、人と人の本当の相性は、往々にして不器用な雑談や些細なリアクションの中に現れるものです。お互いのAIが最適化された模範解答だけでマッチングを決めてしまうと、作られたキャラクター同士がマッチするだけで、現実の対面でギャップが生じるリスクがあります。
業界の視点で見ると、これはアプリのビジネスモデルを変革する試みと考えられます。マッチングアプリは本来、利用者が長く滞在して課金することで利益を出してきました。マッチングが効率化されすぎてすぐに退会されては困るため、AIを「自己改善やコミュニケーションのコーチ」として位置づけ、日常的に相談できる継続課金サービスへと進化させようとしているように見えます。
このアプローチは、倫理的リスクが高い「バーチャル恋人」を避け、現実の人脈支援に特化した点で賢明な判断といえます。一方で、破局の傷や心理的コンプレックスといった極めて繊細なプライバシーをアプリに預けさせることになるため、データ管理やセキュリティ面でどこまで信頼を得られるかが最大の課題になりそうです。
情報源 (2)
- @tsarnick(新しいタブで開きます)原文twitter.com
- fortune.com(新しいタブで開きます)報道fortune.com