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英ITVが初のディープフェイクコメディ番組を公開、有名人が隣人トラブル劇に

公開 拡散指数 36

英ITVの新番組『Deep Fake Neighbour Wars』の舞台裏が報じられた。StudioNeuralのAI技術で無名俳優の顔をセレブにリアルタイム置換。顔の向き制限など制約は残るものの、1月26日よりITVXで配信される。

画像:theguardian.com

テレビをつけたら、大スターのトム・ホランドが狭いアパートの一室で、近所付き合いの愚痴を延々とこぼしている。声も身振りも本人そのものに見えるが、実は出演していない。これが英国の地上波局が仕掛ける最新のコメディだ。

英ITVは、1月26日より自社の配信プラットフォームITVXにて、テレビ番組として世界初となるディープフェイク・コメディ「Deep Fake Neighbour Wars」の配信を開始する。

庶民の街角で揉める世界的セレブたち

番組の構想は実にばかばかしい。世界的な大スターたちが普通の労働者階級の街に暮らし、ささいな近所トラブルで小競り合いを繰り広げるという設定だ。

サッカーのハリー・ケインがテラスのタイルを割られたとラッパーのストームジーに詰め寄り、筋トレマニアのはずのマーク・ウォールバーグが喘息持ちの中年男として描かれる。脚本を手掛けたスペンサー・ジョーンズ氏は、完璧な格好良さを破壊し、日常のくだらない悩みを背負わせる点に面白さを見出した。

技術を担当したのはStudioNeuralのバーニー・フランシス氏だ。ケインの顔を生成するためにAIモデルを100万回以上反復学習させ、毛穴の質感に至るまで忠実に再現した。

俳優は顔を横に向けられず、雨も降らせない制約

驚くべきリアリティを誇る一方で、撮影現場は技術的な制約との戦いだった。

顔の追跡を維持するため、出演する物まね俳優たちは常にカメラの正面を向き続けなければならなかった。会話相手の方へ自然に顔を向けると、AIが目印を見失い、合成された顔が突然消えてしまうからだ。

出演したカティア・クヴィンゲ氏は、撮影中は常に体を固定しなければならず、撮影後に別のオーディションを受けた際「首を横に振れる」ことに感動したと振り返る。

雨や窓ガラスの反射といった遮蔽物もNGで、極端な変顔や手で顔を覆う動作も破綻の原因になる。さらに、俳優自身の骨格が対象のセレブと似ている必要があり、クヴィンゲ氏がオリヴィア・コールマン役に選ばれたのも骨格の一致率が95パーセントだったためだ。

なぜ重要か

ディープフェイクといえば、フェイクニュースや詐欺、悪質な偽動画など、長らく社会的な脅威として語られてきた。今回の試みは、大手放送局がその技術をメインストリームの大衆向けエンターテインメントとして活用した初の本格的な事例となる。

番組制作の観点から見れば、これまで数億円の出演料が必要だったセレブのパロディを、若手物まねタレントと合成技術だけで手軽に映像化できる可能性を示した。短編コントや風刺番組の制作コストを劇的に下げる手段になり得る。

しかし、このやり方には明らかな危うさもある。ITVは各話の冒頭に免責事項を入れ、エンディングでは実演者が素顔を見せて手を振る演出で悪意がないことを強調している。だが、本人の明確な許諾なしに写実的な肖像を商業利用する手法は、芸能人の肖像権や権利保護の議論に火をつける可能性が高い。

また、完全自動化には程遠い現実も浮き彫りになった。4K画質に耐えうる合成を行うには膨大な手作業と不自然な演技指導が必須であり、自由なカメラワークが使える映画レベルのAI制作にはまだ相当な時間がかかりそうだ。

情報源 (1)

  1. [1]
    theguardian.com(新しいタブで開きます)原文theguardian.com

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