SD公式が除外した画師の作風、AIコミュニティがLoRAで再現
AIコミュニティのクリエイターがLoRAモデルを訓練し、公式が学習データから除外した人気絵師Greg Rutkowski氏の作風をStable Diffusion向けに再現してCivitaiで無料公開した。本人がAI利用に強く反対していても、オープンソース環境では個人の模倣学習を止める術がない実態が浮き彫りとなった。

これは、Civitai上で無料公開されているLoRA追加学習モデルであり、Stable Diffusion上でデジタル絵師Greg Rutkowski氏の特徴的な超現実的ファンタジー作風を忠実に再現するために作られたツールです。
Rutkowski氏本人からの強い反発を受け、開発元のStability AIはStable Diffusion 2.0のリリース時に同氏の作風を学習データから除外し、特定の画風模倣を制限しました。しかし、コミュニティの有志がこの専用LoRAを制作したことで、除外された画風が再びオープンソース環境に戻ってきました。
何ができるのか
Stable Diffusion 1.4や1.5が普及していた頃、Rutkowski氏の名前はプロンプト内で40万回以上も呼び出され、ピカソやダ・ヴィンチを上回る人気キーワードとなっていました。彼の名前を指定するだけで、高品質なコンセプトアートを簡単に生成できたためです。
公式が2.0でそのスタイルを排除した結果、ユーザーからは表現力が弱体化したと不評を買いました。このLoRAをベースモデルに適用すれば、複雑なプロンプトの工夫を凝らすことなく、氏特有の重厚な筆致、陰影、ダークファンタジーの空気感を直接再現できます。
仕組みと利用方法
制作者は、カスタムSDXLモデルの制作でも知られるクリエイターのLykon氏です。LoRAは基本モデル全体を再学習させるのではなく、特定の画風や被写体、色彩のみを効率的に学習させた小さな追加レイヤーとして機能します。
モデルファイルはCivitaiから誰でも無料で入手可能です。データサイズが極めて軽量なため、一般的なコンシューマー向けGPU環境でも追加のVRAM消費をほとんど気にせず、WebUIなどの既存ワークフローに組み込んで動作させられます。
ただし、本ツールの使用には倫理的な議論が付きまといます。Rutkowski氏自身は、AI生成画像が溢れたことで自身の本物の作品とAI生成物の区別すら困難になったと嘆き、AI学習に明確に反対しています。作者のLykon氏は「本人から削除要請があれば取り下げる」としつつも、スタイルの正確な保存は有益だと主張しています。コミュニティ内でも「合法であっても倫理的とは言えない」と批判の声が上がっています。
なぜ重要か
ローカルで画像生成を試すクリエイターにとって、このLoRAは軽量アダプタがいかに高い精度で筆致を模倣できるかを示す格好の技術検証サンプルと言えます。
しかし、商用制作や公の場でのプロジェクトにこれを使用することは慎重になるべきだと考えます。オープンソースの世界でオプトアウトを強制することがいかに難しいかを証明した一方で、本人が明確に拒絶しているスタイルをあえて再現し続けることには、大きな社会的・倫理的リスクが伴います。
情報源 (1)
- decrypt.co(新しいタブで開きます)原文decrypt.co