Arcee AI、推論モデル「Trinity-Large-Thinking」をApache 2.0でオープンソース公開
Arcee AIは推論モデル「Trinity-Large-Thinking」をApache 2.0で公開し、API提供を開始した。応答前に思考ステップを挟むことでエージェントのツール呼び出しを安定化。PinchBenchでOpus-4.6に次ぐ2位を記録し、出力料金も100万トークンあたり0.90ドルに抑えた。
Trinity-Large-Thinkingは、Arcee AIがApache 2.0ライセンスで公開したオープン推論モデルです。長時間稼働する複雑な自律エージェントや、複数ターンにわたるツール呼び出しに特化して設計されています。
24時間稼働するエージェントを作っている開発者なら、会話が続くうちにコンテキストが乱れたり、ツール呼び出しの形式が崩れたりする悩みをよく知っているはずです。このモデルはその課題を真正面から解消するために投入されました。
何ができるのか
1月末に登場した前世代のTrinity-Large-Previewはインストラクトモデルでしたが、今回の新バージョンは応答を出力する前に思考ステップを挟む構造を採用しています。
要するに、ツールを叩く前に論理展開を頭の中で整理する仕組みです。これにより、長時間のループ処理でも文脈の一貫性が保たれ、厳しい制約条件でも指示に正確に従い、ツールの呼び出し精度が大幅に安定します。
ベンチマークでも確かな実力を示しています。エージェント性能を測るPinchBenchにおいて、クローズドの最上位モデルOpus-4.6に次ぐ世界2位を記録しました。
運用コストの低さも際立っています。Arcee AIの公式APIにおける出力料金は100万トークンあたりわずか0.90ドルで、Opus-4.6と比べて約96%安価に利用できます。
学習規模と推論スタック
トレーニングと運用のパイプラインも効率を最優先に構築されています。
事前学習には2048基のNVIDIA B300を使用し、その後のSFTおよびRL(強化学習)によるポストトレーニングは1152基のNVIDIA H100で実施されました。推論スタックにはNVIDIA Dynamo、Blackwell Ultra、そしてvLLMが採用されています。
前世代のPreviewモデルは、公開からわずか2か月でOpenRouter上で3兆3700億トークン以上を処理し、OpenClaw集計で米国内首位のオープンモデルとなりました。今回のThinkingモデルは、その膨大な実運用テストのフィードバックを反映して磨き上げられたものです。
公開範囲と利用方法
権利面でも完全に開かれています。モデルの重みはHugging Face上でApache 2.0ライセンスとして公開されており、商用利用、追加学習、蒸留、オンプレミス運用が自由に行えます。
手軽に試したい場合は、Arcee AIのAPIプラットフォームやOpenRouterから直接呼び出すことができます。なお、従来のPreviewモデルも割り当てリソースを調整した上でOpenRouterでの無料提供が継続されます。
今後は今回の知見を活かし、小型モデルであるTrinity-2-NanoやMiniへの知識蒸留も進められる予定です。
なぜ重要か
マルチツールのエージェントや自動化パイプラインを開発しているなら、今すぐ試す価値があります。これまでエージェントを安定して動かすには高額な商用APIに頼るしかありませんでしたが、同等クラスの性能を持つオープンモデルを低コストで自前運用できる選択肢が手に入りました。
Arcee AIのアプローチは非常に実用的だと評価できます。ベンチマークの数値競争だけに走るのではなく、実運用でツールが破綻しない安定性と極限の低価格に絞り込んできました。Apache 2.0でここまで本格的な推論モデルが登場したことは、商用APIに依存したくない企業にとって強力な追い風になります。
情報源 (1)
- arcee.ai(新しいタブで開きます)原文arcee.ai