Apple、M5チップと新バンド採用の新型「Vision Pro」を発表
AppleはM5チップとDual Knit Bandを搭載した新型Vision Proを発表した。価格は3,499ドルから。16コアNeural EngineによりAI処理が最大50%高速化し、描画ピクセル数も10%向上。新設計のバンドで装着感とバランスの改善も図られている。

初代Apple Vision Proの最大の弱点は、間違いなくその重量バランスでした。体験自体は未来そのものでも、30分もつければ首や頬にずっしりと負担がかかる点に悩まされたユーザーは少なくありません。
Appleは10月15日、チップを刷新し装着感を改良した新型「Apple Vision Pro」を発表しました。新たにM5チップを搭載し、専用の新型バンド「Dual Knit Band」を採用しています。すでに予約注文が始まっており、10月22日に発売されます。
タングステンで重さを分散、M5で描画とAIを高速化
装着感を改善するためにAppleが取ったアプローチは、実に物理的です。新しいDual Knit Bandは上下2本のストラップを一体成形した構造になっており、下部ストラップの内部にはタングステン製のカウンターウェイトが埋め込まれています。フロントヘビーな本体の重心を後頭部側で打ち消す仕組みで、初代Vision Proとも互換性があり、単体でも購入可能です。
頭脳部には、第3世代3nmプロセスで製造されたM5チップが採用されました。10コアCPUと10コアGPUを備え、ハードウェアアクセラレーテッド・レイトレーシングとメッシュシェーディングに対応しています。
マイクロOLEDディスプレイへのレンダリングピクセル数は前世代比で10%増加し、テキストの輪郭やグラフィックの精細感が向上しました。リフレッシュレートは最大120Hzまで引き上げられ、パススルー時のモーションブラー低減やMac仮想ディスプレイの滑らかさに貢献しています。バッテリー駆動時間は通常使用で最大2.5時間、ビデオ再生で最大3時間に伸びました。
16コアNeural Engineにより、ペルソナの生成や空間写真のAI変換といったシステム機能が最大50%高速化し、サードパーティ製アプリでのAI処理速度は最大2倍に向上しています。
PS VR2コントローラーとスタイラスへの実用的な歩み寄り
visionOS 26の搭載に合わせて、入力体系にも大きな変化がありました。Appleはこれまで視線と手のジェスチャーのみにこだわっていましたが、今回ソニーのPlayStation VR2 Senseコントローラーのサポートを正式に追加しました。6自由度トラッキングとハプティクスフィードバックにより、本格的なVRゲームがプレイ可能になります。
さらに、空間での精密な描画やモデリング向けに、ロジクールのスタイラスペン「Logitech Muse」にも対応します。
コンテンツ面では、Apple Immersiveでレイカーズの生中継試合が一部地域で配信されるほか、F1やレッドブルなどの新規映像が順次投入されます。
なぜ重要か
今回のアップデートは、空間コンピューティングを実用的な道具へ着実に近づけるマイナーチェンジと言えます。大幅な軽量化や低価格版の投入には至っていないものの、現場の声に応えて弱点を潰しにきた格好です。
既存の初代ユーザーにとって、M5モデルへの買い替えはハードルが高いですが、タングステンウェイト入りの新バンドだけを買い足す価値は十分にあります。一方で、これまでコントローラーがないことや描画性能を理由に見送っていた3DクリエイターやXR開発者にとっては、120Hz対応やPS VR2コントローラーの解禁によって本格的に検討できる端末になりました。
業界の視点で見ると、Appleが専用コントローラーの必要性を実質的に認めた点は象徴的です。ジェスチャー操作のスマートさを誇る一方で、ゲームや精密作業には物理的な触覚や追従性が不可欠であるという現実に着地しました。ただ、カウンターウェイトによる負荷軽減は総重量を減らしたわけではないため、一般普及に向けた本当の勝負は、さらなる小型軽量化を果たした次世代モデルを待つことになりそうです。
情報源 (1)
- apple.com(新しいタブで開きます)原文apple.com