AppleがオープンAIモデル「DCLM」公開、Mistral-7B超えの性能を発揮
Appleなどの研究チームがHugging Face上でDCLMモデル群(7Bおよび1.4B)をオープンソース公開した。重みだけでなく学習データやコードも完全公開されており、7BモデルはMMLUスコア63.7%でMistral-7Bを上回った。端末向け機能ではなくデータ選別の研究成果という位置付けだ。

DCLMは、Appleの機械学習チームがワシントン大学、テルアビブ大学、トヨタ・リサーチ・インスティテュートと共同開発したオープンソースの小規模言語モデルシリーズです。ラインナップは7Bと1.4Bの2モデルで構成されています。
多くの企業が重みデータのみを配る中で、このプロジェクトは徹底したオープン性を取っています。モデルの重みだけでなく、学習コードや事前学習データセット「DCLM-Baseline」までHugging Face上で完全公開されました。
なぜ高い性能を出せるのか
性能の鍵を握るのは「モデルベース・フィルタリング」と呼ばれるデータ選別手法です。別の機械学習モデルを用いて大規模データから高品質なテキストを自動抽出することで、無駄なデータを削ぎ落としました。
この厳選データをもとに、OpenLMフレームワークを用いて2.5兆トークンでゼロから学習されたのがDCLM-7Bです。標準のコンテキスト長は2Kとなっています。
5-shot MMLUベンチマークにおいて、DCLM-7Bは63.7%の正解率を記録しました。これは従来のオープンデータ基準モデルMAP-Neoを6.6ポイント上回るスコアで、しかも学習時の計算資源を40%削減しています。
このスコアはMistral-7B-v0.3の62.7%を凌駕し、GoogleのGemma(64.3%)やMetaのLlama 3 8B(66.2%)に迫る水準です。さらに追加で1000億トークンを学習させることで、コンテキスト長を8Kまで拡張することにも成功しています。
1.4Bモデルも同クラスを圧倒
トヨタ・リサーチ・インスティテュートと共同学習した1.4Bモデルも2.6兆トークンで鍛え上げられ、極めて高い性能を示しています。
5-shot MMLUでは41.9%を達成し、Hugging Faceが公開したSmolLM 1.7B(39.97%)やQwen-1.5B(37.87%)、MicrosoftのPhi-1.5(35.90%)を軒並み上回りました。
ライセンス面では、1.4Bモデルが商用利用しやすいApache 2.0で提供されているのに対し、7BモデルはApple Sample Code Licenseとなっています。Hugging Faceには7Bの指示チューニング版も用意されています。
なお、本作はデータキュレーションの有効性を実証するための基礎研究であり、Appleデバイス向けの製品機能ではありません。そのため学習データ由来のバイアスなどが残る点には留意が必要です。
なぜ重要か
独自に小規模モデルを事前学習させたいエンジニアにとって、DCLMは最高の教材かつ検証環境です。多くの先行モデルが秘密にしてきた学習データの全貌と選別手法が、再現可能な形で手に入ります。
巨大な計算資源で力任せに学習させるのではなく、データの質を研ぎ澄ますことで4割の計算量を浮かせられると証明した意義は大きいです。エッジ向けモデルの最適化に取り組んでいる開発者なら、試す価値が十分にあります。
情報源 (1)
- venturebeat.com(新しいタブで開きます)原文venturebeat.com