Apple、iOS 17を発表:キーボードに端側Transformerを導入
Appleは「iOS 17」を発表した。Neural Engineで動作するオンデバイスのTransformer言語モデルを搭載し、文字入力の自動修正や予測変換の精度を刷新。さらに通話中のリアルタイム留守電文字起こし機能も追加した。派手な対話型AIではなく、日常の基本操作を裏側から地道に強化する狙いだ。

毎日の文字入力で誤変換にイライラさせられたり、知らない番号からの着信に出るべきか迷ったりするストレスは、スマートフォンを使う人なら誰もが経験しているはずです。アップルは今回、そうした最も基本的な体験に手を入れてきました。
アップルは6月5日、iPhone向けの次期基本ソフトとなる「iOS 17」を発表しました。外観を大きく変える派手な刷新ではなく、電話、メッセージ、AirDrop、キーボードといった日常的に触れる標準機能の使い勝手を底上げするアップデートです。
キーボードにTransformer導入、留守電のリアルタイム文字起こし
技術面で大きな注目を集めているのが入力機能の刷新です。キーボードの自動修正機能に、デバイス上で動作する最新のTransformer言語モデルが採用されました。文脈に応じた単語予測や文章全体の文法修正が可能になり、入力中に候補が表示された際はスペースバーをタップするだけで単語や文を補完できます。音声入力の認識モデルも更新され、精度が引き上げられました。
電話アプリも大きく進化しました。「ライブ留守番号(Live Voicemail)」は、相手がメッセージを吹き込んでいる最中に、Neural Engineを使って端末内で音声をリアルタイムにテキスト化して画面に表示します。内容を確認しながら途中で通話に応答することも可能です。通信キャリアが迷惑電話と判定した着信は即座に拒否され、文字起こしデータは端末外に出ないためプライバシーも守られます。
着信画面をポスターのようにデザインできる「連絡先ポスター」も追加され、写真やMemoji、文字フォントを自由に組み合わせて相手の画面に表示できるようになります。
端末をかざして連絡先交換、横向き充電でスマート時計に
AirDropには、端末同士を近づけるだけで連絡先を交換できる「NameDrop」が加わりました。iPhone同士だけでなく、Apple Watchとの間でも利用できます。同じ動作でコンテンツの共有やSharePlayの同時再生を始めることも可能です。
メッセージ機能には、目的地への無事な到着を家族に知らせる「到着確認(Check In)」が追加されました。移動が滞った場合には、位置情報やバッテリー残量、通信状況が暗号化された上で指定した相手に一時的に共有されます。さらに音声メッセージの自動テキスト化にも対応しました。
横向きで充電している間に役立つのが新機能「スタンバイ(StandBy)」です。デスクやベッドサイドに置いたiPhoneを全画面ディスプレイとして活用し、時計、写真、ウィジェットなどを離れた場所からでも見やすいサイズで表示します。iPhone 14 Proの常時表示ディスプレイにも対応します。
このほか、端末内の機械学習を活かして日々の振り返りを支援する「ジャーナル」アプリや、マップのオフライン保存機能、AirTagの最大5人での共有機能などが盛り込まれました。
なぜ重要か
派手な生成AIチャットボットを単体の新アプリとして追加する企業が多いなか、アップルはあえてTransformerモデルをキーボードの奥底に埋め込み、日常の文字入力を滑らかにするという地道なアプローチを選びました。この設計は非常に実用的で賢い手だと私たちは考えます。
一般ユーザーにとって、毎日の文字入力の誤変換が減り、留守電の内容をその場で文字で確認できる価値は絶大です。何か新しい操作手順を覚える必要がなく、普段通りの使い方をしているだけで恩恵を受けられます。
一方で、端末内だけでモデルを動かす方針はプライバシー保護に強いという利点がある反面、対応言語の広がりや端末ごとの処理能力の差が体験に直結しやすいという懸念も残ります。それでも、スマートフォンの本質である「連絡」と「入力」の粗削りな部分を先端技術で埋め直した点は、他社のOS開発にも大きな影響を与えるはずです。
情報源 (1)
- apple.com(新しいタブで開きます)原文apple.com