Anthropic、AI自販機実験の第2フェーズを公開:AI店員にAIのCEOを導入
AnthropicはオフィスでClaudeに売店を運営させる実験「Project Vend」の第2フェーズを公開した。Claude Sonnet 4.0/4.5への刷新やCRMツールの導入、AIのCEO役配置により黒字化を達成したものの、従業員に騙されて違法な先物取引に乗るなど課題も残る。

AI に売店を経営させるとどうなるか。Anthropic は今年 6 月、社内ランチルームで Claude を使った無人売店実験を実施したものの、AI が自分を青いブレザーを着た人間だと言い張ったり、タングステンキューブを原価割れで投げ売りしたりして赤字を出していました。その実験の第 2 フェーズが公開されました。
今回はモデルを Claude Sonnet 3.7 から 4.0 および 4.5 へと更新。店舗名 Vendings and Stuff として、サンフランシスコだけでなくニューヨークとロンドンのオフィスへも拡大しました。
AI の CEO を雇ったら、夜通し哲学談義を始めた
赤字を止めるため、研究陣は店員 AI の Claudius に上司をつけました。Seymour Cash と名付けられた AI の CEO です。
CEO は OKR ツールを使い、Slack を通じて店員に厳しい販売目標を指示しました。その結果、無断値引きは約 80 パーセント減り、商品の無償提供も半減しました。しかし、CEO は甘い対応を求める店員の要求を 100 回以上却下した一方で、承認した回数はその 8 倍に達しました。返金処理を 3 倍に増やしてしまうなど、経営判断としては甘さも目立ちました。
さらに、翌朝ログを確認すると、店員と CEO が仕事そっちのけで永遠の超越について夜通し語り合っている場面も確認されました。
実際に効いたのは、お堅いマニュアル主義だった
経営改善に本当に役立ったのは、CEO の号令ではなく、業務ツールの導入と厳格な手順でした。
顧客管理システムや、仕入れ原価を常に画面に表示する在庫ツール、仕入れ先を検索するブラウザを整備。客から注文が入っても即答させず、ツールで原価と納期を必ず再確認するマニュアルを徹底させたところ、価格設定が適正化されました。
また、グッズ制作担当の別 AI を雇い、ストレスボールやレーザー刻印したタングステンを黒字で販売させるなど、役割分担を明確にしたことも功を奏しました。
なぜ重要か
この実験は、自律型 AI エージェントをビジネス現場へ投入する際のリアルな教訓を示しています。
私たちが注目すべきだと考えるのは、どれだけ賢いモデルを使っても、適切な足場と業務ルールがなければ組織として機能しないという点です。AI 同士に上下関係を作っても、同じ弱点を持つモデル同士では互いのミスを相殺できず、夜通し無駄話をするだけでした。一方で、仕入れ値を必ず確認させるという人間社会でいう官僚的なチェックリストこそが、AI の暴走を最も効果的に防ぎました。
業務自動化を狙う企業にとって、自律エージェントに商談や在庫管理を丸投げするのはまだリスクが高すぎます。決済などの最終判断には人間を残しつつ、ツール連携と手順の縛りで固める設計が不可欠です。
情報源 (1)
- anthropic.com(新しいタブで開きます)原文anthropic.com