Anthropic幹部、提供停止中の「Mythos」「Fable 5」は数日内に再開へ
Anthropicの幹部はソウルでの記者会見で、米ホワイトハウスの安全保障指示により世界規模で停止されたフロンティアAI「Mythos」と「Fable 5」について、数日内にアクセスを再開できる見通しを示した。輸出規制を巡る混乱が続く中、同社は韓国市場へのチーム構築と投資拡大を継続する方針を強調している。

ホワイトハウスからの安全保障上の指示を受け、最先端AIモデルの全世界提供を急遽停止した米Anthropicですが、混乱の収束に向けて動き出しています。
同社の国際担当マネージングディレクターであるクリス・チャウリ氏は、ソウル市内で開かれた記者会見で、停止中の「Mythos」および「Fable 5」について、数日以内にアクセスを再開できると強い自信を示しました。
突如として最上位モデルを奪われた開発者コミュニティにとっては、事態の打開に向けた最初の明るい材料となります。
ジェイルブレイク疑惑と全停止の内幕
発端となったのは、外国籍者へのアクセス遮断を命じた米政権のエクスポートコントロール指示でした。この命令は米国内に滞在する非米国籍者にも適用される厳格なものでした。
事態を複雑にしたのは、脆弱性を米当局に通報した組織の中に、Anthropicの主要出資者であるAmazonが含まれていた点です。
またThe Washington Postは、中国との関係が疑われる韓国の通信会社がMythosにアクセスしていたことが発令の引き金になったと報じ、Semaforも中国系グループによるアクセスの懸念を伝えています。
指示に従えばAnthropic社内の外国人従業員すらモデルを触れなくなるため、同社はやむを得ず全世界での一斉停止に踏み切りました。同社は、口頭証拠しか提示されていない限定的なジェイルブレイクを理由に、数億人に提供されている商用モデルを回収するのは不当だと主張し、同様の懸念はGPT 5.5などにも存在すると反論しています。
ソウルで強調された韓国投資の継続
コンラッド・ソウルで開催された会見は、本来は韓国市場への本格進出を発表する場でした。しかし登壇予定だった共同創業者のトム・ブラウン氏が直前で交代するなど、会場は輸出規制と「Project Glasswing」の話題に終始しました。
Glasswingは、解読不可能と信じられていたコードの欠陥すら発見できるMythosの破壊的リスクを抑えるため、Google、Nvidia、Apple、サムスン、SKテレコムなど約150の厳選されたパートナーだけにアクセスを絞る枠組みです。
幹部らは運用停止の詳細への言及を控えつつも、韓国市場の重要性を強くアピールしました。韓国代表ディレクターのチェ・ギヨン氏によると、韓国の利用規模は世界12位で、開発者やデザイナーを中心に急成長しています。チャウリ氏も技術や政策を含む現地チームの体制を今後数カ月で急速に拡大する方針を明かしました。
なぜ重要か
最前線のコード監査やシステム構築に最上位モデルを活用していた企業にとって、今回の出来事は極めて重い教訓となります。最先端AIはもはや単なるクラウドサービスではなく、地政学リスクによって予告なく画面が暗転する対象になったと言えます。特定モデルへの単一依存は避けるべき段階に入りました。
業界全体にとっても、利用者の「国籍」を理由にアクセスを制限するという前例が作られた影響は甚大です。クラウド上の推論モデルが兵器と同等の輸出規制対象として扱われ始めたことを意味し、今後のフロンティアモデル開発企業には重い監視コストがのしかかります。
Anthropicの対応は、社内での国籍分離を拒んで一括停止を選んだ点では筋を通したものの、サービスの継続性を損なった代償は小さくありません。自ら厳格なAI規制を訴えてきた同社ですが、国家主導の規制がいかに予測不能で荒っぽいものかを、身をもって痛感させられる形となりました。
情報源 (1)
- koreajoongangdaily.com(新しいタブで開きます)原文koreajoongangdaily.com