Anthropic、Instagram共同創業者のマイク・クリーガー氏を初代CPOに起用
AnthropicはInstagramの共同創業者であるマイク・クリーガー氏を初代最高製品責任者(CPO)に任命したと発表した。同氏はプロダクトエンジニアリングやデザインを統括し、Claudeの一般消費者向け展開と法人サービスの拡大を指揮する。OpenAIやGoogleに対抗し、UXとプロダクト力を底上げする狙いだ。
最先端の AI モデルを作れる研究者はシリコンバレーに大勢いますが、何億人ものユーザーが毎日夢中になるアプリを作れる人物となると、話は別です。
米 Anthropic は 5 月 15 日、写真共有アプリ Instagram の共同創業者であるマイク・クリーガー氏を、同社初となる最高製品責任者(CPO)として迎えたことを発表しました。
Instagram の立役者が Claude のプロダクトを率いる
マイク・クリーガー氏は、2018 年に Meta を去るまで Instagram を世界的な巨大プラットフォームへと育て上げた人物です。
その後、同じく共同創業者のケビン・シストロム氏とともにパーソナライズ型ニュースアプリ「Artifact」を立ち上げました。Artifact は今年初めにサービス終了を発表したものの、4 月に米 Yahoo に買収され、クリーガー氏のアドバイザー業務も一段落したタイミングでした。
Anthropic でクリーガー氏は、プロダクトエンジニアリング、製品管理、デザイン全般を統括します。最近リリースされたばかりの Claude のモバイルアプリといった一般消費者向け機能だけでなく、法人向けサービスやサブスクリプション事業もその管轄に入ります。
Anthropic のダリオ・アモデイ CEO は、特にオフィスなどの職場環境において、人々が Claude とどう対話するかという新たな体験を設計する上で、クリーガー氏が培ってきた直感的なプロダクト作りの手腕が極めて貴重になると述べています。
ベンチマーク競争から「使いやすさ」の勝負へ
この人事のタイミングは非常に示唆に富んでいます。
つい数日前、ライバルの OpenAI が極めて人間らしく滑らかに対話する ChatGPT の新デモを披露したばかりであり、米 Google も年次開発者会議「I/O」で Gemini の大規模なアップデートを発表した直後でした。
Anthropic の Claude 3 は、モデル自体の頭の良さや自然な文章力でエンジニアやライターから絶大な支持を集めてきました。しかしプロダクトとしての見栄えや体験という面では、研究機関然とした地味さが残っていたのも事実です。
世界規模のソーシャルメディアを成功させたトップデザイナー兼エンジニアを引き入れたことは、Anthropic が研究室から飛び出し、本格的にコンシューマー市場とワークプレイス市場を奪いにいく意思表示と言えます。
なぜ重要か
ユーザーにとってのメリットは明確です。Claude の頭脳の良さはすでにトップクラスですが、今後はスマートフォンアプリの使い勝手や、仕事で使う際の操作性が大幅に洗練されることが期待できます。テキスト入力欄だけのシンプルな画面に物足りなさを感じていた人にとっては、普段使いのツールとして乗り換える良いきっかけになるはずです。
業界全体で見れば、生成 AI の主戦場が「モデルのベンチマーク比較」から「プロダクトの完成度と継続率」へとシフトしたことを示しています。トップモデル同士の性能差が縮まりつつある今、日常的に選ばれるかどうかはインターフェースの使い心地にかかっています。
Anthropic の今回の決断は極めて賢いと私たちは考えています。安全性や論文の質を重視する同社の姿勢は信頼を集めてきましたが、それだけでは競合の派手なプロダクト展開にユーザーを奪われかねません。10 億人規模のプロダクトを育てた実績を持つ人物に全権を委ねることで、Claude を単なる優れた AI モデルから、誰もが毎日使う必須ソフトウェアへと進化させようとしています。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com