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業界動向

Anthropic、サイバー防衛計画を15カ国150組織に拡大:インフラ保護へ

公開 拡散指数 43

Anthropicはサイバーセキュリティ防衛計画「Project Glasswing」の対象を15カ国以上の約150組織へ拡大したと発表した。Claude Mythos Previewを用いて電力や水道、医療などの重要インフラの脆弱性をスキャンし、悪用される前に修正を進める狙いだ。

Anthropic、サイバー防衛計画を15カ国150組織に拡大:インフラ保護へ
画像:anthropic.com

Anthropicが、AIを活用したサイバーセキュリティ防衛の枠組みを一気に拡大しています。

今年4月初旬、同社は未公開モデル「Claude Mythos Preview」を約50の初期パートナーに提供する「Project Glasswing」を始動しました。パートナー企業がコードベースの脆弱性スキャンを実施したところ、わずか数週間で1万件を超える深刻度の高い、または致命的なセキュリティ欠陥が発見されました。

今回発表された拡大方針では、新たに15カ国以上、約150の組織が加わります。対象には電力、水道、ヘルスケア、通信、ハードウェアといった重要インフラ分野や、世界中の政府や企業が依存するオープンソースおよび基盤ソフトウェアのメンテナが含まれます。

Anthropicの試算によると、今回選定されたパートナーの大半において、コードベースへの侵入が成功した場合の影響は1億人以上に及ぶとされています。

6〜12カ月後の「防壁なきモデル」に備える

Anthropicが急ぐ背景には、切迫したタイムリミットがあります。

同社は、今後6カ月から12カ月の間に、他社からもMythosクラスの能力を持つモデルが登場すると警告しています。懸念されるのは、そうしたモデルが悪用を防ぐ安全ガードレールなしで公開されるリスクです。

安価で高速なサイバー攻撃ツールが誰でも手に入る世界になれば、攻撃の頻度や手口の予測は極めて困難になります。攻撃側が強化される前に、防御側が先手を打って重要システムの脆弱性を塞いでおく必要があります。

これに伴い、AnthropicはClaude Opus 4.8を活用して脆弱性スキャンや修正案を提示する製品「Claude Security」をリリースしたほか、パートナー向けに開発した脆弱性検出ツールを信頼できるセキュリティチームに限定提供し始めています。

ボトルネックは「発見」から「修正」へ

AIの検出能力が高すぎるあまり、現場では新たな壁にぶつかっています。見つかった膨大な脆弱性を検証し、開示し、修正パッチを当てる人間の処理能力が追いつかないという問題です。

そのため、現在のProject Glasswingでは、Mythos Previewを使って修正コードを生成させたり、公開前の事前チェックを行ったり、レガシーコードをメモリ安全な言語へ再構築する試みなどが進められています。

Anthropicは第三者機関と連携し、オープンソースソフトウェアのパッチ適用体制を大規模に拡充するとともに、特定の防衛用途に限定してモデル能力を提供する検証プログラムの規模拡大も目指しています。

なぜ重要か

重要システムを運用する技術者にとって、これは「見つかっていない脆弱性は存在しない」という前提への移行を意味します。未公開のモデルが数週間で1万件の致命的欠陥を暴いたという事実は、悪意ある攻撃者が同様の能力を手に入れた際の脅威を端的に示しています。

業界全体から見れば、Anthropicのこの一手は極めて計算された先行防衛策と言えます。モデルの一般公開を厳格に制限しつつ、電力や水道といった止まれば社会が麻痺するインフラを優先して防護網に組み込むアプローチは合理的です。

しかし、私たちはこの優位性が恒久的なものになるかには慎重な見方をしています。防御側が100%の成功を求められるのに対し、攻撃側はたった1つの穴を突けば成立するからです。同社が予測するように、今後1年以内にガードレールのない同等モデルが市場に出回った場合、自動化された修正と自動化された攻撃のスピード勝負に持ちこたえられるかが真の試練となります。

情報源 (1)

  1. [1]
    anthropic.com(新しいタブで開きます)原文anthropic.com

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