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研究

ESAのAI「AnomalyMatch」、ハッブル望遠鏡画像から未知の宇宙異常800件以上を発見

公開 拡散指数 31

欧州宇宙機関(ESA)の研究チームはニューラルネットワーク「AnomalyMatch」を発表した。ハッブル望遠鏡アーカイブの画像約 1 億枚をわずか 2 日半で解析し、重力レンズや正体不明の構造など、過去に記録されていない 800 以上の異常天体を発見した。

ESAのAI「AnomalyMatch」、ハッブル望遠鏡画像から未知の宇宙異常800件以上を発見
画像:engadget.com

ハッブル宇宙望遠鏡は35年間にわたり宇宙の姿を捉え続けてきましたが、膨大な画像データを人間の天文学者が1枚ずつ隅々まで確認することは物理的に不可能でした。多くの特異な天体が、アーカイブの中で誰にも気づかれないまま眠り続けていたわけです。

欧州宇宙機関(ESA)の研究チームは、この課題を解決するためにAIを活用しました。開発されたニューラルネットワーク「AnomalyMatch」が、驚くべきスピードで新たな発見をもたらしています。

2日半で約1億枚の画像を走査

モデルを開発したのは、ESAの天文学者David O'Ryan氏とPablo Gómez氏です。彼らはハッブルの35年分の観測データが集まる「ハッブル・レガシー・アーカイブ」にAnomalyMatchを適用しました。

ESAによると、熟練した科学者は特異な天体を見つけ出す能力に長けているものの、データ量が膨大すぎて人間の手作業では詳細な精査が追いつかない状況だったといいます。

AIの処理能力は圧倒的でした。

AnomalyMatchは、わずか2日半で約1億枚の切り出し画像をスキャンしました。その後、リストアップされた候補を両氏が目視で確認したところ、1400個の異常天体が特定され、そのうち800個以上がこれまでに記録されていない未知の天体でした。

クラゲ銀河から分類不能の謎天体まで

見つかった天体の多くは、衝突や相互作用によってガスや恒星の長い尾を引き、歪な形になった銀河でした。

また、手前にある銀河の重力で時空が歪み、背後の銀河の光がリング状や弧状に変形する「重力レンズ」現象も多数含まれていました。真横から見た惑星形成円盤や、星形成が活発な塊を持つ銀河、「クラゲ銀河」と呼ばれる特異な形状の銀河も発見されています。

さらに興味深いことに、数十個の天体は既存のどの分類基準にも当てはまらず、正体が分からない状態だといいます。

Gómez氏が語るように、すでに調べ尽くされたと考えられていたハッブルのデータから、これほど多くの未報告天体が見つかったことは大きな成果です。

なぜ重要か

私たちは、この取り組みを科学研究におけるAI活用の最も健全で効果的な姿だと評価しています。AIが勝手な推論をでっち上げるのではなく、人間の認知の限界を補う超高速なスクリーニング役として機能しているからです。

研究者にとって、この種の手法を取り入れる価値は明白です。天文学における最大のボトルネックは観測技術ではなく、集まりすぎたデータの処理にあります。1億枚の画像を人間の研究者がチェックしていれば数十年かかった作業を、AIが最初の足切りを行い、最終判断だけを人間が担うという役割分担は極めて実用的です。

この成果は、今後の大規模プロジェクトにも大きな影響を与えるはずです。ハッブルのデータ量は、今後稼働する最新の探査プロジェクトが日々生成するデータに比べればごくわずかです。過去の古いアーカイブからすら800以上の新発見を引き出せるのであれば、将来のサーベイ観測において異常検知AIは必須の標準インフラになるでしょう。

もちろん、学習データの偏りによって、ノイズと本物の新物理現象を見誤るリスクは残ります。しかし、すでに存在する観測資産の価値を最大化する手段として、これほど費用対効果の高いアプローチは他にありません。

情報源 (1)

  1. [1]
    engadget.com(新しいタブで開きます)原文engadget.com

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