Amazonが配送員向けスマートグラスを披露:レンズ内に案内や荷物情報を表示
先月サンフランシスコで開催された Delivering the Future にて、Amazonは配送員向けのスマートグラスを発表した。レンズ内に住所や徒歩ナビを表示し、荷物の確認や写真撮影もハンズフリーで行える。スマートフォンを取り出す手間を減らす狙いだが、正式な導入時期は未定だ。

配達ドライバーの仕事は、想像以上に両手が塞がっています。重い荷物を抱えながらスマートフォンを取り出してバーコードを読み取り、画面の地図と表札を見比べ、配達完了の証拠写真を撮影する。この一連の動作を1日に何百回も繰り返します。
Amazonはこの負担を視界の中からなくそうとしています。同社はサンフランシスコで開催されたイベント「Delivering the Future」にて、配達員専用のAIスマートグラスを正式発表しました。ロイターが以前報じていた開発計画が、ついに実機として姿を現した形です。
スマホを見ない配達ワークフロー
このスマートグラスの狙いは、配達業務の完全ハンズフリー化です。
本体にはAIセンシング、コンピュータビジョン、カメラが搭載されており、Even Realityの製品に似たレンズ内ヘッドアップディスプレイを採用しています。一般消費者向けのエンタメ端末ではなく、現場の作業効率化に特化しています。
配送車が停車するとグラスが自動的に起動し、視界に配達先の住所や荷物の個数を表示します。さらに荷台で該当する荷物を探す際、カメラが荷物を識別して視覚的なアラートで場所を知らせてくれます。
車を降りた後は、Amazon独自の地理空間技術を用いた歩行ナビゲーションがレンズ内に表示されます。迷いやすい大規模マンションや複雑なオフィスビルでも、視線を落とさずに矢印に従って歩くだけで目的地に辿り着けます。
玄関先に到着したら、フレーム前面のデュアルカメラが置き配の証拠写真をハンズフリーで撮影し、そのままアップロードを完了します。
長時間の現場作業に耐える構造も特徴です。度付きレンズや調光レンズに対応するほか、専用ベストのポケットにコントローラーと終日駆動可能な交換式バッテリー、緊急通報ボタンを収容する設計となっており、鼻にかかる重量負担を軽減しています。現地で体験した記者や先行テスト中の配達員からも、軽さと使い勝手について好意的な声が上がっています。
将来的には、誤配をその場で検知して警告する機能や、庭のペット検知、暗所アシストなどの追加も予定されています。
なぜ重要か
一般消費者向けのスマートグラス市場がまだ用途を模索しているなかで、業務用途に絞り込んだAmazonのアプローチは極めて合理的だと考えられます。
1件の配達でスマホを取り出す手間を10秒削るだけでも、全米規模になれば莫大な労働時間の削減と燃料費の抑制につながります。また、下を向かずに周囲を見渡せるようになることは、転倒事故や犬の噛みつきといった現場の危険を減らす現実的な安全策にもなります。
一方で懸念されるのは、配達員に対する監視強化の側面です。すでにAmazonの配達現場はアルゴリズムによる厳格なスケジュール管理下に置かれています。視線や移動データ、作業速度がリアルタイムでカメラとセンサーに追跡されることになれば、現場からの反発やプライバシーを巡る議論が再燃する可能性があります。
現在は北米で試験運用中であり、正式展開の時期は未定です。同社は倉庫用ロボットアーム「Blue Jay」や倉庫管理AI「Eluna」も同時発表しており、物流の全工程をAIで極限まで効率化する姿勢が鮮明になっています。
情報源 (2)
- zdnet.com(新しいタブで開きます)原文zdnet.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com