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業界動向

靴ブランドの Allbirds が「AI 計算力プロバイダー」へ転身、株価は一時 600% 超急騰

公開 拡散指数 53

業績不振が続いていた靴メーカーの Allbirds が従来資産を 3900 万ドルで売却し、「NewBird AI」として GPU クラウド事業への転換を発表した。5000 万ドルを調達して高性能 GPU を取得する計画で、株価は一時 600% 以上急騰。ただし専門家からは、上場枠を利用した典型的な AI 便乗と厳しい見方も出ている。

靴ブランドの Allbirds が「AI 計算力プロバイダー」へ転身、株価は一時 600% 超急騰
画像:theverge.com

かつてシリコンバレーの起業家や投資家に愛用された羊毛スニーカーのブランドが、AIクラウドの計算資源を提供する事業者へと急転換を発表しました。

2021年に約40億ドルの評価額で新規上場したAllbirdsですが、上場後に黒字化することは一度もなく、2022年から2025年にかけて売上高は約50%も落ち込みました。店舗網を整理した同社は、先月ブランド名と関連資産を3900万ドルでAmerican Exchange Groupへ売却することで合意しています。

しかし、残された上場企業の受け皿は手放しませんでした。CEOのJoe Vernachio氏は社名をNewBird AIへと改称し、GPU即サービスとAIネイティブクラウドソリューションを提供する会社に生まれ変わると発表しました。

靴からGPUへ、株価は一時720%超の急騰

同社は非公開の機関投資家から5000万ドルの転換社債型融資枠を確保しました。NewBird AIはこの資金を使って高性能GPU資産を取得し、コンピュート資源を確保できない企業や研究機関に対して長期リース契約で提供する計画を掲げています。

発表直後、ナスダック市場で取引されている同社の株式(ティッカーシンボル:BIRD)は、始値の6.82ドルから一時24.31ドルまで急上昇しました。一日の上昇率は720%を超え、その後も20ドル近辺で取引が続いています。

ただし、この事業転換や資産売却は確定事項ではありません。5月18日に開催予定の株主総会での承認が必要であり、承認されれば第3四半期に株主へ配当が支払われる見通しです。

この案件で私募代理人を務めたChardan Capitalは、最近もスマートリングメーカーのMovanoとAIクラウドのCorvexによる合併を手掛けており、上場枠を使ってAI事業へ看板を架け替える動きが続いています。

ウォートン校教授が指摘するバブルの警鐘

アパレル企業が突然AIインフラ事業へ参入することに対し、市場関係者からは厳しい目が向けられています。ペンシルベニア大学ウォートン校のGad Allon教授は、これをピボットと呼ぶのは過大評価だと指摘しています。

本来のピボットとは、自社が持つ技術や人材、流通網を新しい市場に再配置することですが、AllbirdsにはAIに関する資産が一切ありません。持っているのはナスダックの上場資格だけであり、流行のテーマに乗じて資金調達を行うための器に過ぎないと教授は分析しています。

かつて靴磨きの少年が株の推奨を始めたら売り時だと言われたように、靴メーカーがAIを語り始めた現状はバブルの兆候そのものだと同教授は警鐘を鳴らしています。2017年にロングアイランド・アイスティー社がブロックチェーン事業への参入を発表して株価を吊り上げ、翌年に上場廃止となった事例を彷彿とさせます。

なぜ重要か

開発者やAIスタートアップの実務的な視点から見ると、NewBird AIを今すぐ利用価値のあるクラウド基盤として期待するのは現実的ではないと私たちは考えます。大手テック企業が数千億円規模のインフラ投資を進める中、わずか5000万ドルの資金調達枠で調達できるハイエンドGPUの数量は極めて限られており、安定した供給力や価格競争力を持つとは考えにくいからです。

業界全体に与える影響としては、AIコンピューティング資源の深刻な不足が、いかに歪んだ市場行動を生み出しているかを浮き彫りにしています。データセンターの空室率が歴史的低水準にあり、正規ルートでチップを調達できない企業が多いことが、こうした上場殻企業の参入余地を生んでいます。

手元の赤字事業を切り離して上場維持枠を最大限に利用した資本政策自体は抜け目がないと言えますが、事業としての持続可能性には大きな疑問符が付きます。自前のデータセンターや独自のインフラ技術を持たない以上、計算資源の需給が緩和された瞬間に、過去の仮想通貨ブーム時の銘柄と同様の運命をたどるリスクが高いと見られます。

情報源 (2)

  1. [1]
    theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
  2. [2]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com

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