アリババが「Qwen 3.7 Plus」を発表:GUI操作に特化、11時間自律コーディングも
アリババのQwenチームは、画面操作やツール実行に特化したマルチモーダルモデル「Qwen 3.7 Plus」を公開しました。画面を認識してアプリUIを再構築し、11時間自律してコードを書き上げる能力を持ちます。重みは非公開ですが、Anthropic API互換を備え、Alibaba Cloud経由で低価格な商用APIとして提供されます。

AIにプログラミングを任せても、エラーが出るたびに作業が止まり、人間がログを貼り直す羽目になる経験は誰にでもあるはずです。
アリババのQwenチームはマルチモーダルモデル「Qwen 3.7 Plus」を発表しました。テキスト対話にとどまらず、画面の視覚認識、マウス操作、端末コマンドの実行をひとつの自律ループに統合したモデルです。
11時間ノンストップでアプリを自律開発
その実力を示すため、開発チームは英語学習アプリを最初から最後まで自律構築させるデモを公開しました。
モデルは11時間以上にわたり連続稼働し、1000回以上の内部呼び出しを経て1万行を超えるコードを出力しました。
驚くべきはその自律性です。要件定義書の作成からコード生成、環境構築だけでなく、テストケースの作成、画面を見ながらのGUIテスト、並行テスト、さらにはバージョン管理まで人間の手を借りずに完遂しました。
また、macOS標準の「株価」アプリを画面経由で操作してUI構造を解析し、SwiftUIで完全に再構築した上で、外部APIを連携させて10種類の動作テストをパスさせるデモも公開されています。
ブラウザ向けには「Qwen for Chrome」拡張機能を用意。ユーザーの許可を得てクラウド管理画面を操作し、最安の仮想サーバーを探してスペック設定から購入まで代行します。
画面操作特化の割り切りとAPI互換性
公開されたベンチマークを見ると、このモデルの狙いは明確です。
画面操作を測るAndroidWorldやScreenSpot Proでは、GPT-5.4やOpus 4.6 Max、Gemini 3.1 Proを明確に上回るスコアを記録しました。ターミナル作業や長期計画でも高い強みを示しています。
一方で、MedXpertQA-MMなどの難度の高い科学・医療マルチモーダル推論では、Gemini 3.1 ProやGPT-5.4に及びません。一般的なテキスト性能も最高峰クラスと同等にとどまります。
極めて実用的なのが、AnthropicのAPIプロトコルを標準でサポートしている点です。Claude CodeやOpenClawといった既存のエージェントツールに、そのままバックエンドとして組み込むことができます。
さらに、複数ターンの対話で推論プロセスを保持するpreserve_thinking機能も備えており、長時間の自律タスクで有効化が推奨されています。
重みは非公開の商用モデルで、Alibaba Cloud百錬を通じて提供されます。価格は入力100万トークンあたり0.40ドル、出力2.40ドルと、西側の競合モデルと比べて破格の安さに設定されています。
なぜ重要か
アリババは、極めて現実的で賢いポジションを取りに来たと評価できます。
何百回もツールを呼び出すエージェントを欧米の最上位モデルで動かすと、API利用料だけで莫大なコストがかかります。Qwen 3.7 Plusは、Anthropic互換のまま圧倒的な低価格で提供されるため、Claude Codeなどを日常的に回している開発者にとって強力な代替候補になります。
全方位の学術スコアでトップを狙うのではなく、「画面を見て実際に手を動かす」という実務自動化に特化させた判断は非常に合理的です。社内ツールの自動テストやクラウド運用など、泥臭い作業を任せる価値は今すぐにでもあります。
ただし、科学的な論理思考や複雑な設計判断では最上位モデルに劣るため、高度なアーキテクチャ設計まで丸投げするのは禁物です。
万能の天才ではなく、安価で休まず画面を操作してくれる優秀な実務アシスタントとして、エージェントの実用化を一気に加速させる一手と言えます。
情報源 (1)
- the-decoder.com(新しいタブで開きます)原文the-decoder.com