本文へスキップ
IFAI

業界動向

空飛ぶクルマの米Alef、シリコンバレーの空港で実証実験を開始

公開 拡散指数 34

米Alefはシリコンバレーの2つの空港と提携し、垂直離着陸できる空飛ぶクルマの試験運用を開始すると発表した。完全EVで陸上約320km、飛行約177kmの航続距離を持つ。既存の航空管制との連携やAI安全システムの検証を進める。

空飛ぶクルマの米Alef、シリコンバレーの空港で実証実験を開始
画像:interestingengineering.com

渋滞にはまったドライバーなら、誰もがボタン一つで真上に飛び立ちたいと考えたことがあるはずです。

米カリフォルニア州サンマテオを拠点とする新興企業Alefが、そのSFのような光景を一歩現実に近づけました。同社はシリコンバレー近郊のホリスター空港およびハーフムーンベイ空港と合意を結び、空飛ぶクルマの試験運用を開始すると発表しました。

隔離されたテストコースではなく、実際の空港環境で従来の航空機と一緒に離着陸や航空交通との統合を検証する計画です。

「超軽量」扱いで規制の壁を回避

試験運用に使われるのは、同社の「Model Zero」と呼ばれる超軽量(ウルトラライト)仕様の車両です。地上走行、垂直離着陸、前進飛行のほか、既存の航空機と混ざり合う空域での機動性をテストします。

車両を超軽量航空機に分類したのは、非常に現実的な抜け道と言えます。この分類であれば、民間航空当局による長期で厳格な認証を待たずに飛行テストを行えるためです。

ただし制限もあります。超軽量カテゴリーの機体は日中しか飛ぶことができず、都市や市街地など人口密集地の上空を飛ぶことは法律で禁じられています。

同社によると、この車両は完全な電気自動車で、地上航続距離は約200マイル(約320キロ)、飛行航続距離は約110マイル(約177キロ)です。今年初めには、プロトタイプが道路上の別の車を飛び越える映像を公開して注目を集めていました。

開発に約10年、価格は30万ドル想定

Alefは空飛ぶクルマの実現に向けて約10年間開発を続けており、最終目標は一般消費者向けの「Model A」の市販です。

予定価格は約30万ドル(約4400万円)と高額ですが、すでに3300件以上の予約が入っていると同社は説明しています。予約金は通常枠が150ドル、優先枠が1500ドルです。

CEOのジム・デュコフニー氏は、これは航空機ではなくあくまで自動車であり、自動車のインフラやビジネスモデルを航空管制に統合することこそが革新だと主張しています。機体には自動運転車のようなAI安全システムも組み込まれる予定です。

なぜ重要か

Alefが公営空港に進出した意義は、派手なイメージ動画やレンダリング画像の世界から抜け出し、空飛ぶクルマを現実の航空インフラと同じ土俵に立たせた点にあります。

一般ユーザーの視点で見れば、毎日の通勤渋滞を避ける目的で今すぐ予約を入れる価値はありません。30万ドルという価格は富裕層の趣味の領域ですし、超軽量機の規制下にある限り、最も混雑する都市部の上空を飛ぶことは法的に不可能だからです。

一方、業界戦略としては極めて巧みです。多くのeVTOL企業がFAAの型式証明取得に何年も足踏みし資金を削られる中、Alefは超軽量機の枠組みを利用して素早く実証実験を始め、空港や管制当局との連携実績を積む道を選びました。

しかし、この近道には明確な限界があると考えられます。試験運用を超軽量機で乗り切ることはできても、一般向けのModel Aを実際に顧客へ届けて街中で飛ばすには、民間航空機と同等の過酷な安全認証が避けられません。抜け道で時間稼ぎはできても、最終的な量産化と市街地飛行のハードルが消えるわけではありません。

情報源 (1)

  1. [1]
    interestingengineering.com(新しいタブで開きます)原文interestingengineering.com

毎日のAIピックアップ