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研究

英独などの研究チームが「Delphi-2M」開発、1000種以上の疾患リスクを数年前から予測

公開 拡散指数 33

水曜日、英独などの国際研究チームがNature誌でAIモデル「Delphi-2M」を発表した。患者の病歴データをTransformerで解析し、1000種以上の疾患リスクを数年先まで予測できる。データセットの偏りにより臨床導入にはまだ課題が残るものの、予防医療に向けた新たな道筋を示した。

英独などの研究チームが「Delphi-2M」開発、1000種以上の疾患リスクを数年前から予測
画像:sciencealert.com

幼い頃からの病歴を一列に並べると、医師にとってはカルテですが、言語モデルにとっては文法を持った文章のように見えます。

英国、デンマーク、ドイツ、スイスの研究機関による合同チームが、学術誌「Nature」に論文を発表しました。患者の過去の診断履歴をもとに、1000種類以上の疾患の発症率を数年先まで予測できるAIモデル「Delphi-2M」を開発しました。

このモデルの土台になっているのは、ChatGPTなどと同じ「トランスフォーマー」技術です。

診断履歴を「文法」のように読み解く

大規模言語モデルが文章内の単語の並びを覚えるように、Delphi-2Mは病気の現れる順序を学習します。

ドイツがん研究センターのAI専門家であるMoritz Gerstung氏は、診断の連なりを読み解く作業は「テキストの文法を学ぶようなもの」だと説明します。

過去の診断名、どの疾患が一緒に発症しやすいか、どのような順序で現れるかといった医療データのパターンを把握することで、極めて精度の高い予測が可能になるといいます。

実際、年齢などの基本情報から予測される水準よりも、心臓発作のリスクがはるかに高い、あるいは低い患者を的確に見分けることができました。

研究チームは約50万人のデータを持つ「UKバイオバンク」でモデルを訓練し、デンマークの約200万人規模の公衆衛生データベースで検証を行いました。

1000以上の疾患を長期予測、ただし臨床にはまだ遠い

医療現場ではすでに、英国家庭医が心血管疾患や脳卒中リスクを測る「QRISK3」などの予測ツールが使われています。

共著者のEwan Birney氏によると、従来のツールが特定の疾患だけを対象とするのに対し、Delphi-2Mは1000以上の疾患をまとめて、しかも長期スパンで同時に予測できる点が大きく異なります。

欧州分子生物学研究所のTom Fitzgerald氏は、将来的に逼迫した医療現場のリソース配分を最適化する手助けになると期待を寄せています。

ただし、今すぐ診察室で使えるわけではありません。研究チーム自身、臨床導入にはさらなる検証が必要だと念を押しています。

英国工学技術学会のPeter Bannister氏は、英国とデンマークのデータセットには年齢や人種、既存の医療格差による偏りがあると指摘し、実用化にはまだ距離があるとコメントしました。

一方でロンドン大学キングス・カレッジのGustavo Sudre教授は、中身の解釈が可能で倫理的に配慮された予測モデルへの重要な前進だと評価しています。

なぜ重要か

今回の研究の最大の妙手は、病歴を言語と同じ「系列データ」として扱い直した点にあると考えます。病気ごとに個別のリスク計算機を作るのではなく、全身の病歴を文法として捉えたことで、複数の疾患が連鎖するパターンを包括的に拾い出せるようになりました。

一般ユーザーにとって今すぐ試せるツールではなく、試す必要もありません。個別の予防処置と結びつかない疾患予測は、現段階では不安を煽るリスクのほうが高いからです。

医療業界にとっては、従来の単一疾患向け予測アルゴリズムを刷新する圧力になります。電子カルテを読み込ませるだけで全身の将来リスクが俯瞰できるようになれば、既存の健康予測ツールのあり方は一変するはずです。

懸念されるのはデータの偏りです。今回のデータは英国とデンマークの特定の集団に依存しているため、異なる地域や人種において同様の精度が出るかは不透明です。このバイアスを克服できるかが、実用化への最大の分水嶺になると見ています。

情報源 (1)

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    sciencealert.com(新しいタブで開きます)原文sciencealert.com

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