Adobe、「Substance 3D Sampler 4.2」公開:AI活用の画像・マテリアル変換を大幅強化
Adobeは「Substance 3D Sampler 4.2」をリリースし、AIを活用した「Image to Material」およびDelighterフィルターを大幅に刷新した。新たにAI超解像フィルターが追加されたほか、レイヤーごとに解像度を設定可能になり、質感の向上と作業パフォーマンスの両立が図られている。
スマホで撮った壁や布地の写真をそのまま3Dソフトに持ち込み、リアルなマテリアルとして使う。言うのは簡単ですが、現場では写真に焼き付いた影やテカリの除去に追われ、拡大すればディテールが潰れるのが長年の悩みでした。
Adobeは9月7日、「Substance 3D Sampler 4.2」(開発コード名:Dorayaki)を公開し、長年クリエイターの足を引っ張ってきたこうした工程をAIで大幅に刷新しました。
陰影をきれいに落とすDelighterと、専用のAI超解像フィルター
最大の目玉は、AIを駆使した「Image to Material」機能と「Delighter」フィルターの大幅なアップデートです。
Delighterは、取り込んだ実写画像から不要な環境光や強い影を除去し、マテリアル本来の質感を抽出する機能です。今回の改良により、微細な表面の凹凸を壊さずに、よりクリアなベースカラーが得られるようになりました。
さらに、専用の「Upscale」フィルターも新登場しました。低解像度のテクスチャをAIで自然に引き伸ばすことが可能で、従来の線形拡大を行おうとすると、ソフトウェア側が「Upscaleフィルターを使いませんか」と警告を促してくれます。
作業レスポンス面も改善され、Image to MaterialやUpscaleの重い計算処理を素早くキャンセルできるようになりました。パラメーターの微調整中に画面がフリーズして待たされるストレスが軽減されています。
レイヤーごとの解像度制御で、作業負荷を最適化
アルゴリズムの刷新に加え、テクスチャ制作の根本となる構造にも手が加わりました。「Layer Resolution(レイヤー解像度)」機能の導入です。
これまでのようにドキュメント全体を一律の解像度で処理するのではなく、レイヤースタック上で各レイヤーの稼働解像度を個別に確認し、ドキュメント基準か入力画像基準かを切り替えられるようになりました。
これにより、高精細に仕上げたい表面ディテールだけを高解像度で計算させ、下地レイヤーは軽く保つといった運用が可能です。環境設定にはGPUによるニューラルネットワークアクセラレーションのオン・オフ機能も追加され、Substance Engineはバージョン9.0.1に更新されています。
なぜ重要か
ゲーム開発者や3Dアーティストにとって、Sampler 4.2は「実用的な制作スピードを直接引き上げる」堅実なアップデートと言えます。
完全なテキスト生成3Dがまだ実制作のパイプラインに馴染みきっていないなか、現実世界の写真をスキャンして使えるアセットに変える需要は日増しに高まっています。AdobeがAIの強みをテクスチャの陰影除去と超解像という一番泥臭い作業に絞って投入してきたのは、極めて理にかなったアプローチです。
特に、レイヤーごとに解像度をばらして管理できるようにした点は、現場のハードウェア負荷をよく理解した巧みな設計だと感じます。
ただし、どんなにAIが賢くなっても、極端な直射日光や複雑な反射光が入り込んだ写真まで完全に自動で破綻なく復元できるわけではありません。ロケ撮り素材の品質チェックなど、最終的なクオリティ管理には引き続き人の目が必要になりそうです。
情報源 (1)
- helpx.adobe.com(新しいタブで開きます)原文helpx.adobe.com