Adobe、動画編集「Premiere」をiPhone向けに無料提供へ AI機能も統合
米Adobeは動画編集アプリ「Premiere」を9月後半にiOS向けに無料で提供開始すると発表した。トラック数無制限のタイムラインや4K HDRに対応し、Fireflyによる生成AI音響や音声補正を備える。基本機能は無料だが、追加クラウドやAIクレジットは有料となる。

スマホで撮影した動画を本格的に編集しようとすると、タイムラインの制限や機能不足ですぐにパソコンへ戻らざるを得ないことがよくあります。
Adobe はそんな課題を解消すべく、動画編集ソフト Premiere の iPhone 版を今月中に無償でリリースすると発表しました。Android 版も開発中とのことです。
簡易版を脱却し、本格的なマルチトラックに対応
これまで Adobe がモバイル向けに提供していたのは、機能を絞った Premiere Rush だけでした。
今回の新アプリについて、クリエイター製品マーケティング担当バイスプレジデントの Mike Polner 氏は、プロ並みの複雑さを持ち込まずに、プロレベルの創作コントロールを手元に届けるものだと説明しています。
最大の特徴は、動画、音声、テキストのレイヤー数を無制限に重ねられるマルチトラックタイムラインです。モバイル環境でも自由度の高い編集が可能になります。
さらに 4K HDR 編集、自動キャプション生成、TikTok や YouTube Shorts、Instagram 向けのワンタップ書き出しにも対応します。各プラットフォームの比率に合わせた自動リサイズ機能も備えています。
基本無料で AI とクラウド課金モデルへ
アプリのダウンロードと基本編集は無料です。無料枠でも Adobe 製のフォント、画像、効果音、音楽、動画素材が利用できます。
課金対象となるのは、追加のクラウドストレージと生成 AI クレジットです。
機能面では、Adobe Firefly を活用した AI アセット生成のほか、AI 音声強調や生成サウンドエフェクトを搭載しています。生成 AI を使わずに通常素材だけで編集することも可能です。
なぜ重要か
今回の動きは、モバイル編集市場で CapCut などの台頭に押されていた Adobe による、本格的な反撃の一手だと考えられます。
クリエイターにとっては、普段使っている高品質な編集機能をスマホ上で、しかも無料で試せる点が大きなメリットです。撮影からソーシャルメディアへの投稿までを iPhone 1 台で完結させたい人には、有力な選択肢になるはずです。
一方で、画面の小さいスマートフォンで複雑なマルチトラックをどこまで直感的に操作できるかという課題は残ります。タッチ操作が煩雑であれば、ライト層はより手軽なショート動画専用アプリに戻ってしまう懸念もあります。
それでも Adobe にとって、基本機能を無償開放してユーザーを自社環境に引き留めつつ、Firefly の AI クレジットやクラウドで収益化を図るアプローチは極めて合理的と言えそうです。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com