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業界動向

声優陣がAI音声企業LOVOを集団提訴、「研究用」と偽り商用販売か

公開 拡散指数 42

声優のポール・スカイ・ラーマン氏らがAI音声企業LOVOを相手取り米連邦地裁に集団訴訟を起こした。同社が「学術研究用」と偽って外注サイトで音声を収録させ、実際には有料AIモデルとして無断販売していたと主張している。AI学習による音声盗用を巡る初の大型訴訟となる。

声優陣がAI音声企業LOVOを集団提訴、「研究用」と偽り商用販売か
画像:hollywoodreporter.com

友人の家で YouTube を見ていた声優の Paul Skye Lehrman 氏は、ロシアのウクライナ侵攻を解説する動画から流れてきた音声に戦慄しました。抑揚も声質も自分そのものなのに、そんな原稿を読んだ覚えは一切ありませんでした。

その後、同じく 14 年以上のキャリアを持つ声優の妻 Linnea Sage 氏も、自分たちの声が無断で AI 音声プラットフォームに登録され、別名で販売されている事実に気づきます。

2 人は木曜日、カリフォルニア州バークレーに拠点を置く AI スタートアップ LOVO を相手取り、ニューヨーク連邦地裁に集団訴訟を提起しました。声を無断利用して AI モデルを学習させ、商業利用した疑いが持たれています。

AI 企業が個人の肖像や音声データそのものを学習素材として盗用したとして訴えられるケースは、業界初とみられます。

「学術研究のため」と偽り商用モデルへ流用

発端は、フリーランス仲介サイト Fiverr での案件依頼でした。

訴状によると、2020 年に Lehrman 氏は Fiverr 上であるユーザーから 1,200 ドルで音声収録を依頼されました。用途を尋ねると「学術研究目的のみであり、他には一切使用しない」と約束されましたが、この発注者は LOVO の従業員だったとされています。

しかし 2 年後、彼の声は登録者 33 万人を超える軍事系 YouTube チャンネルのナレーションに使われていました。さらに LOVO のサービス内では「Kyle Snow」という架空の名前を付けられ、デフォルト音声や看板プリセットとして大々的に宣伝されていました。

妻の Sage 氏も同様の手口に遭っています。2019 年に「ラジオ広告の社内テスト用で権利許諾は不要」と説明されて音声を納品したところ、2023 年には LOVO 上で「Sally Coleman」名義で販売されていたといいます。

さらに同社は、Ariana Grande をもじった「Ariana Venti」や Conan O’Brien をもじった「Cocoon O’Brien」など、著名人の声を連想させるプリセットを並べてユーザーを誘引していました。

激減する仕事と失われるコントロール

声優たちにとって、これは死活問題です。

Lehrman 氏は昨年来、自身の配音案件が約 50% も減少したと訴えています。さらに深刻なのは名声への悪影響で、自分が決して引き受けないようなブランドの宣伝や主張を、自分の声で勝手に語られてしまう恐怖に直面しています。

米俳優組合 SAG-AFTRA の法務責任者 Jeffrey Bennett 氏もこの動きを支持し、同意のないクローン作成の危険性を警告しています。現在、全米統一のパブリシティ権を定めた連邦法は存在せず、州ごとの個別法に頼らざるを得ないため、連邦レベルでの法整備を強く求めています。

なぜ重要か

フリーランスの声優やナレーターにとって、今回の訴訟は身近な自己防衛の契機となります。「研究目的」「社内限定」といった曖昧な文言を盾にした低額案件が、自分の声を永久にコピーする道具に化けてしまうリスクが浮き彫りになったからです。

私たちは、LOVO のような手口は生成 AI 業界の極めて不誠実な側面を象徴していると考えます。規約上は「著名人の模倣禁止」と掲げて責任逃れをしつつ、実際にはパロディ名でクローン音声を売りにするやり方は、もはや法的に通用しなくなりつつあります。

業界全体で見れば、AI をめぐる法廷闘争は「ウェブ上の著作物クローリング」から「個人の生体情報・パブリシティ権の保護」という新たな段階に入りました。グレーな素材集めでコストを浮かせてきた音声合成サービスは淘汰され、正規のライセンス契約を結んだ健全なプラットフォームへと業界再編が進むはずです。

情報源 (1)

  1. [1]
    hollywoodreporter.com(新しいタブで開きます)原文hollywoodreporter.com

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