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42AIが「行動世界モデル」を発表:6250万ドル調達、人間の意思決定を予測

公開 拡散指数 72

イスラエルのスタートアップ42AIがステルスを脱し、6250万ドルの資金調達とともに人間の意思決定を予測する世界モデルを発表した。通話履歴や取引行動から心理特性を数値化し、既に大手証券会社10社でリスク管理に活用されている。公称98%の的中率は取引フローが予測幅に収まる指標で、個別売買の完全予測ではない。

42AIが「行動世界モデル」を発表:6250万ドル調達、人間の意思決定を予測
画像:techcrunch.com

もしAIが、あなたが次の行動を決める前にその選択を先回りして予測できるとしたらどうだろうか。

イスラエルのスタートアップ42AIが、3年間のステルス期間を経て表舞台に登場した。同社は人間の意思決定を予測するトランスフォーマー基盤の「行動世界モデル」を発表し、創業者陣とインフィニティ・グループから総額6250万ドルのシード資金を調達したことを明らかにした。

すでに大手証券会社10社で本番稼働しており、年間売上高はすでに7桁ドル(数億円)規模に達しているという。

人間そのものを「世界」として捉える

ロボティクスにおける世界モデルは、周囲の物理環境がどう変化するかをシミュレーションするために使われる。しかし42AIは、人間一人ひとりを独立した世界と見立て、環境が変わっても揺らぎにくい「心理的傾向」をモデル化するアプローチをとった。

これまでの予測AIのように過去の取引履歴を単純に外挿するのではない。42AIは本人確認(KYC)の手順、サポート窓口での声のトーンや感情、電話をかける頻度、資金移動のタイミングといった、一見すると売買とは無関係な日常の行動データを収集する。

システムはこれらの断片を数学的な心理特性ベクトルに変換し、トランスフォーマーモデルに投入して、さまざまな局面でその人物が特定の判断を下す確率を算出する。予測の根拠を説明するために、別の言語モデルも併用されている。

開発には3年が費やされ、神経科学やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の専門家に加え、2011年にノーベル化学賞を受賞したダン・シェヒトマン氏も助言に関わった。数千人の心理テストから始まり、政府やバイオバンクのデータ200万人分、さらには顧客データセットを通じて約3000万人分の行動プロファイルを網羅している。

98%という的中率の内実

市場取引の予測において、同社は98%の精度を主張しているが、これには注釈が必要だ。

CEOのアミット・ガル=オル氏自身が明かしている通り、この数字は個々の注文を完全に言い当てるものではなく、取引全体のフローが予測したレンジ内に収まった割合を指している。売買の方向や取引量に関するF1スコアは0.8〜0.85程度だという。

導入先の大手証券会社は、顧客が1時間から24時間の間にどう動くかを予測し、証拠金の管理や流動性の確保、動的なヘッジに役立てている。ある証券会社では、この仕組みによって約3000万ドルの追加価値を生み出したとされている。

もっとも、友人の助言を聞いて急に投資判断を変えるといった外部の文脈までは捉えきれず、限界もある。また個人特定情報(PII)は使わないと主張するものの、個人の行動プロファイルが作られることに変わりはなく、証券側が顧客の動揺を先読みして自己の利益に利用する懸念に対しては、倫理委員会以外の明確な防壁が示されていない。

なぜ重要か

物理シミュレーションで培われた世界モデルの手法を、人間の深層心理と行動予測に転用した発想は極めて先鋭的だ。

ブローカーや金融機関にとって、顧客のパニックや集団心理を事前に検知できるメリットは計り知れない。急変時のポジション管理やヘッジを最適化できるだけで、ツールの導入費用は一瞬で回収できる。

しかし、サービスを利用する個人の視点に立つと、圧倒的な情報非対称性が生じる恐れがある。プラットフォーム側がユーザー本人の自制心やリスク許容度の限界を把握してしまえば、金融だけでなく、今後展開が予定されるゲームの課金誘導やセキュリティ審査においても、人間の心理的隙を突く運用が可能になってしまうからだ。

私たちは、従来の履歴データに依存する手法よりも、深層心理の特性ベクトル化を目指した42AIのアプローチ自体は技術的に非常に筋が良いと見ている。一方で、バイオバンクや行動ログを組み合わせた予測プロファイリングは、明確な同意のないまま実運用に組み込まれるリスクを孕んでいる。行動予測が実用段階に入ったいま、人間を出し抜く道具として悪用されないためのルール作りが急務になるだろう。

情報源 (5)

  1. [1]
    42ai.com(新しいタブで開きます)原文42ai.com
  2. [2]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com
  3. [3]
  4. [4]
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